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2/6 千葉県バイオマス発見・活用促進セミナー

今日の午後から、千葉市内で開催されたセミナーに参加してきた。
全国を9地区に分けて、関東では10都府県で実施されたきたセミナーで、千葉が最後である。
比較的狭い部屋で、120名の満席参加であったとか。
バイオマスとは言っても、今回はバイオエタノールに絞った内容で、基調講演の後に事例発表が二題の構成だった。(以下、あくまでも私の捉え方です、悪しからず)

東大大学院の五十嵐教授の基調講演。最先端の学識と諸外国での知見、自らも長野県信濃町で地域完結型のバイオエタノール生産を手がける氏の話は、メリハリ良く現実的でとても面白かった。
バイオマス利用においては、エネルギー生産を化石資源からバイオマス等の持続型再生型資源にシフトすべき事が主題であって、有機性廃棄物(資源)は(処理の過程でエネルギーが回収できるのならそうしても)所詮は廃棄物処理として捉えるべきである。これらを混同してはいけない。
バイオマス利用には、農業(農村)振興を目的として強く意識すべきである。
我が国では、今まだ世界に存在していないソフトバイオマス糖化技術と、イネのトータル利用システムが今後キーテクとして重要である。
バイオマス糖化については、個々の研究者が各地で頑張るのでなく、戦略的に研究拠点を立ち上げ、日本・アジア発のオリジナル技術としての開発が必要である。
ひとつひとつのバイオマス利用技術だけでなく、物質の流れ全体を制御するシステムの導入が必要である。等々示唆に満ちた講演だった。

三菱商事の谷氏による、同社バイオエタノールの事業展開。流石は商社の立場から、世界の中の日本、日本の中で同社が成すべき事を、効果的で簡潔な資料で説明した。
国内にあっては、まず疲弊した農業の振興策として、次に京都議定書実現等の環境対策としてバイオ燃料の製造技術・製造ノウハウの確立を図り、もって将来的にはアジア圏(バイオマス資源が豊富)でのバイオ燃料製造事業につなげたい、との事だった。

最後に、株式会社りゅうせきの奥島氏による、宮古島での廃糖蜜エタノール事業の紹介。
実規模実証による、耐塩・凝集性酵母による連続発酵、ゼオライト膜による低コストで高効率のエタノール脱水技術などが面白く、とにかく実験ではなく事業としてペイさせねばならぬとの気迫が感じられる講演だった。
現状のガソリンの品質確保法の成立背景、E3燃料の現状、FFV(フレキシブル・フューエル・ビークル)の説明がなど勉強になった。
現在の我が国は、各省がバラバラに施策を推進しているが、エネルギー戦略と言うのなら目的を明確にした法制化が必要である」との意見は納得できた。

質問の時間となり、あまり触れられなかった「飼料化」について手を挙げようかなとも考えたが、五十嵐教授の「この国では現実的な規模でバイオエタノールを作ったことがない。ある程度の規模で実証してみて、ようやく何が問題かが判る。一刻も早く取り掛かることだ。」との発言があり、誠にごもっともで、皆の発言も封じられてしまった格好だった。
by yokuya2006 | 2008-02-07 00:25 | エネルギー | Comments(0)
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