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12/17 天使と悪魔

ダ・ヴィンチ・コードに引き続き、その前作に取り掛かった。
これも面白い。全体構想の大きさは、ダ・ヴィンチ・コードを凌いでいる。テーマも重く「宗教と科学の対立」であり、仕掛けもおどろおどろしい。
だが後半、少々無理やりな展開が気になって、興醒めしなくもない。
これでは善玉である帝王や副隊長が浮かばれないし、狙撃した兵隊の罪はどうなるのか。
主人公が空から落ちてきて助かるのも、ウソっぽい。

ネタの一つの「反物質」を語るところでは、「どんな物質にも対立物があります。陽子には電子、云々」と言わせているが、これは間違いだな。陽子(プロトン)には反陽子(アンチプロトン)だし、電子(エレクトロン)には陽電子(ポジトロン)が正しい対象物だ。その後の文脈でも「反物質と物質は陰と陽」と言っているのだから、明らかにこれは間違い、勘違い。
対消滅の結果も、光と衝撃波だけだと書いているが、実際には光子は放射線として観測されるはずだし、例え高空で爆発しても地上は無事では済むまいと思う。

と言うことで、SF読みには辛い部分があって、やはり比較的コンパクトな世界観の中で、謎、謎、謎で押してくるダ・ヴィンチ・コードのほうが、洗練された読後感があって良い。
角川文庫 ダン・ブラウン著 越前敏弥訳。
by yokuya2006 | 2006-12-17 20:12 | 趣味の読書 | Comments(0)
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