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米国産トウモロコシが日本に届くまで

GMOトウモロコシについて長々と書いてきたが、これらは飼料原料として、またトウモロコシ澱粉(コーンスターチ)として、また酵素処理して液糖として等、幅広く日本国内で使われている。

「遺伝子組み換えでない」の表示を見せられれば、何かGMOが悪者のように目に映るのだが、すでに日本人は日常のいたるところでGMOトウモロコシ起源の原料が含まれる食品を摂取しているのが実情である。

さて、この米国産トウモロコシ、大半がGMOであるが、これが日本に届くまでを見てみたい。

日本は世界最大のトウモロコシ輸入国である。我が国が海外から輸入しているトウモロコシは年間1,500万トン、現在その3/4が米国産(USメイズ)であり、うち8割は飼料原料となり、残りは食品や澱粉(コーンスターチ)向けに加工されている。

US
メイズは、米国の所謂コーンベルト(アイオワ州を中心とする中西部)で収穫される。穀倉地帯からは陸路でミシシッピー川やその支流のイリノイ川沿いに建設された集積乾燥施設(カントリーエレベーター)に運ばれ、ここからバルクカーゴ(艀:はしけ)に積み替えてミシシッピー川を下り、バトンルージュからニューオーリンズ周辺にある穀物集積施設(ターミナルエレベーター)で最終的にパナマックス級の超大型ドライバルカー(穀物専用のばら積み船)に積まれてメキシコ湾に出る。

日本への輸送には太平洋側に出る必要があるため、カリブ海からパナマ運河を通過する。このパナマ運河の閘門(こうもん)を通過できる最大サイズに設計された船型規格が、パナマックスである。このルートでは、収穫地からカントリーエレベータまで一ヶ月、ミシシッピー川を下り穀物集積港まで一ヶ月、そしてパナマ運河を通過して日本に届くまでに一ヶ月、合わせて三ヶ月が必要である。

ちなみにパナマ運河が開通したのは1914年であるが、2016年には更に大型の船舶が通過できるよう拡張と浚渫、航路の追加が行われ、船型制限値も拡大(ニューパナマックス)された。

一方で、穀倉地帯から鉄路で西海岸まで運ばれ、タコマ等の港湾から太平洋に出て輸出されるルートもあるが、パナマ運河経由に比べてその割合は少ない。
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Google地図やGoogleEarthで、パナマ運河を見てみる。
航空写真に切り替えれば、閘門の幅一杯に通過中のパナマックス級ドライバルカーを見ることができるだろう。
またニューオーリンズを流れるミシシッピー川、その上流のバトンルージュまでを眺めてみると、河岸にカーギルや全農グレインなどの巨大な穀物集積基地が発見できる。ここで艀で集められた穀物を集荷してドライバルカーに積み替えるのだ。
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そしてミシシッピー川に浮かぶ無数の艀の連なりも見えることだろう。これらを辿っていけば、遥か上流の五大湖の下あたりにカントリーエレベータを見つける事ができるかもしれない。
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次に、我が国での受け入れを見てみよう。(続く)

by yokuya2006 | 2018-12-08 09:58 | GMOと穀物輸入 | Comments(0)
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