3/3 海は、微生物でいっぱい

先日、仕事中に何か確かめることがあってググっていたら、面白そうなタイトルが目にとまった。「海洋ウイルス学:海の微生物の消失要因」ネイチャーの記事だった。

仕事そっちのけで楽しく読んで、一人ひそかに興奮していた。
ウイルスと言ってもこの記事の場合はバクテリア(細菌)やアーキア(古細菌)を消失させるとあるので、バクテリオファージの事だな。ファージと言えば、多面体の頭に、細菌にとっつくための足のついた尾部を持つT4ファージのメカメカしい形が有名だが、この記事によれば海の中では尾部を持たない奴らが優勢なのだそうだ。

研究者らは、この尾っぽのないウイルスの新たな種類を発見し、それらが海洋中のバクテリアやアーキアを消失させていることを明らかにした、とある。昔から、バクテリアを捕食するとされる原生動物だけでは追っつかないのが不思議だったようだ。

一昔前までは、人間が培養できない微生物は「いないもの」とされてきた。ここ最近のメタゲノミクスとその周辺の進展で、環境中のゲノムを丸ごと解析できるようになり、未知の世界が我々の前に現れつつある。

そー言えば数年前には、サイズもゲノムもものすごくでかい、その名も巨大ウイルスってのが話題になった。ウイルスはとっついて殺すのが仕事の病原菌などではなく、そもそもバクテリア、アーキア、ユーカリオーテ(真核生物)と並ぶもう一つのドメインであるべき? 否々むしろドメインの境界が揺らいでいると見るべきなのだろう。
何せ、自然科学の真理とは仮のものだと心得よ!(本川達雄先生)なのである。

旧来のプランクトンネットにかからないので、これも無視されていたピコプランクトンと言う概念も、最近ようやく解明が進んでいるようだ。

目に見えないから分からなかっただけなのだ。海洋でも、当然ながら土壌中でも、空中でも、そして私たち人間の体の中でも、そうなのだろう。

いろいろな「サイズの異なる生きる意志」がウゴメき、共生し、反発しつつ、お互いを認めて進化してきたのが生物体だ。その体も、日々構成材料を入れ替えつつ、成長し、子孫を残し、奇跡的な動的平衡(福岡ハカセ)を保ちつつ、やがて何処かで破綻が起きて、死んで、大きな地球の物質収支の中に還元されていく。

こちとら分子生物学以前の生物学徒だが、こんな生物観が持てる時代に生きていることに感謝したい。この分野の研究者の方々は、毎日が楽しくて仕方がなかろうと思うのだ。

by yokuya2006 | 2018-03-03 16:06 | 日常の雑感、覚書 | Comments(2)
Commented by rollingwest at 2018-03-04 13:03
生物学への造詣は相当なものですね。さすがバイオマスおやじさん
Commented by yokuya2006 at 2018-03-05 18:25
生物に、どの時点で心・意志が生まれたのか、興味深いですね。人間でさえ、案外と最近だと言う説もあるみたいです。