世界的な穀物高騰を背景に、我が国の配合飼料も高騰している。
バイオエタノールばかりが取りざたされるが、BRICs諸国の需要増加も忘れてはならない。
人口増加と生活水準の向上に対して、世界の穀物供給が追いつかなくなってきたのだ。
そして、腹立たしいことには、投機筋が穀物相場にも大きく介入して、価格を吊り上げている。

我が国には、配合飼料の価格安定基金制度がある。しかし今、畜産農家と飼料メーカーが積み立ててきた基金の財源は相次ぐ発動で枯渇し、借り入れをしようにも1000億円を越える巨額となれば融資先の目処が立たない。与党もプロジェクトチームを作って財源を検討しているが、難航していると伝えられる。そもそも、現時点でも巨大なこの借金を、飼料メーカーはどうやって返済するというのだろうか。薄利多売がお約束の飼料業界、目先の対策ではない、構造的問題との認識が必要だろう。

そして、ここに来て輸入粗飼料もかつて無い水準まで値を上げようとしている。
エサ屋も悲鳴を上げているが、酪農家の悲鳴はまさに深刻である。

実は米国や欧州諸国でも、当然のことながら飼料価格は上昇している。そして、生産物価格も上昇している。何故、我が国は上げられないのか。たった3円では、どうにもならない。
生産費が上がれば、製品価格に転嫁せざるを得ぬのは当たり前ではなかろうか。
誰でも値上げは嫌である。安いが良いに決まっている。しかしモノには適正価格があって然るべきである。

安さこそ消費者への奉仕と訴える流通業界だが、いまこそ適正価格販売への舵きりをお願いしたい。
販売力の無い(失礼)地域乳業メーカーの製品を客寄せ目玉商品にするのが日常化してしまったが、これを続けていれば、もう生産者が堪えられない時代になったことを理解して欲しい。
牛乳を値上げせよ。スーパーでの値上げ幅を、そのまま酪農家の手取り乳価に反映させよ。
酪農家廃業の雪崩が起きる前に、関係者の決断を望みたい。
輸入乾牧草のニュークロップについて、情報が入りはじめている。
以前にも書いた記憶があるが、バイオエタノール需要のとうもろこし作付面積拡大を受けて、大豆や麦の畑が圧迫され、これまで牧草を栽培していた畑が大豆や麦の畑に置き換わりつつあるようだ。
これまで牧草を栽培していた畑は、面積を減らし、かつ環境の悪い畑が残ることで収穫量減に拍車をかけている。

加工牧草たるカナダのデハイやUSヘイキューブは2~3割の減。牧草そのものの、US産ルーサン、スーダン、バミューダ、そしてライストローも2割以上の減と伝えられている。
USオーツに至っては激減の様相、一方南半球の豪州はと言えば、小麦にシフトしたことで、やはりオーツヘイが2割減、逆に小麦ストローは増加する見込みだ。

そして、アメリカ国内の牧草需要は落ち込んでいない。
生産資材の高騰があるものの、アメリカはこれらが生産物(牛乳、卵・肉などの畜産物)価格に転嫁できる市場(本来、当たり前であるが!)なので、これら飼料の需要は旺盛なのだ。
要するに、輸出物量が減るだけである。

この輸出量減に加えて、困ったことにコンテナフレートがとんでもない上昇を見せている。
40フィーター1本で、今後100ドル、200ドル、300ドルと値上げが確定しているのだ。
アメリカに集まっていたコンテナ貨物状況が激変していると、商社マンは言う。
サブプライムローン問題が表面化したアメリカは、確実に輸入需要を減らしている。アメリカに荷物が集まらなくなっている。従って出てくるコンテナの数にも限りがある。コンテナの奪い合いとなれば、安価な飼料は太刀打ちできない。そしてここでも投機筋の介入により、コンテナ価格を吊り上げている。

しかも、諸外国の買い付けが入って、我が国は買い負けているフシがある。中国、韓国、そして中東の石油産出国がライバルなのだ。

実はここ数年、高騰が続く配合飼料より、輸入乾牧草の値上がりは凄まじい。
自給飼料基盤の弱い関東以西の酪農家は、果たして今後も営農が可能なのか。
我が国も、乳価格は生産者手取りで3円上がった。しかし、これでは資材価格が生産物に転嫁されているとは、とても言いがたい水準だ。

国内酪農家の大量離農、牛乳の供給不足、加工原料乳の不足が目に見えるようだ。
加工的畜産が是正され、本来あるべき飼料自給に見合った生産の形である」と言うのは容易いが、酪農家のみならず関連業界に吹き抜ける嵐は、思うに恐ろしいものがある。
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エコフィードの飼料設計が今ひとつ。
こうなれば、直接に面と向かって話をせねば埒が明かない。
21日は急遽夕方から栃木に向かうべく、新幹線に乗り込んだ。

ところが途中で仕事が追いかけてきて、そのまま翌日は宮城県にも行かねばならなくなった。
那須塩原で借りたレンタカーを延長して、打合せを夜の8時過ぎに終えて、その日は近所に泊まり、22日は早朝から東北道をひた走る。10時には到着して、慌しく打合せを済ませ、昼食をご一緒に、を辞して急ぎ戻る。
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那須に戻って、目当ての饅頭を買い求める。この饅頭はなんとも「正しい味」がして好きなのだ。
甘辛両党の私。

さあ、燃料を満タンにしてレンタカーを返し、新幹線に飛び乗るはずが、今日はまたいつもに増して携帯電話で次々に仕事が追いかけてくる。気を揉みながら車を止めて話していれば、結局30分に間に合わず、こうなれば一時間待つしかないのが那須塩原駅である。
東京駅に着いたら6時過ぎ、自宅に近い駅に7時を過ぎては、流石に事務所に出る気にはならない。NPOの仕事も片付けておかねばならぬのだ。
気ばかりが急いた一日であった。
f0057955_0175082.jpg東直己 ハルキ文庫。

足を洗い、山奥で世捨て人として生きる元武闘派ヤクザの寡黙な主人公、たまたま山を降りてふと目に留めたテレビ画面に、元恋人の子供の危機を知る。
腐敗した権力の中で蠢くヤクザや不良警官に立ち向かい、巻き込まれた子供を救うまでの逃走と追跡劇。
ススキノのビル屋上に追い詰められた彼等を救ったのは、かつての仲間の機転だった。

なるほどこのための伏線であったか。
どんでん返しは、勝ち誇る卑劣な敵を一転してどん底に突き落とす小気味良さだ。
演出を抑えた最後のシーンが、余韻を残して秀逸。ハードボイルドだぜ!
8日は千歳に泊まる。
9日は、会議を終えて札幌駅近くのビジネスホテルに泊。
昔からよく通った札幌ラーメン、駅前から大通りに向けて歩いて、ビルの地下にあるラーメン東一さん。シンプルな盛り付けだが、しっかりしたスープが塩辛くなく、相変わらず旨い。
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10日の朝、札幌駅前には、何故か消防署の救急車が大集合していた。なにか催し物でもあったのだろうか。床屋で髪を整えてもらい、午後からの訪問に備えることとしよう。

昼飯は、時計台の向かいに新しく開店した北海道カフェ。店で一番値段の高い「たらばとずわいの王様バーガー」を、町村牛乳とコーヒーで食してみた。⇒北海道バーガー

f0057955_23552444.jpgハンバーガーに蟹肉はどうかと思ったが、合わなくはない。
しかし、一度食べれば、これでいいな。1200円也。

正午を告げる時計台の鐘の音とともに、近隣オフィスのサラリーマンやOLさんで混み合ってきたところで、店を出た。
午後からの顧客訪問の後、千歳に移動して羽田に戻れば、またも大雨に遭遇した。
朝からの雨が、昼には風を巻いて強まり、事務所の窓を叩く。これで関東の桜は見納めだな。
午後から羽田空港に向かうが、予定の便に間に合わず、電車の中から一便遅らせたのが幸いしたようだ。空港についてみれば予定の便を含めて欠航が続出していた。
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結局は次便も大幅遅れで、ほぼ満席の混雑で千歳空港に着。北海道は穏やかな夜である。
f0057955_2204998.jpg貴志祐介 講談社。
よくぞ構築した、この世界。
読者をして少年時代の戸惑いを追体験させつつ、いつの間にかすり替わる異形の未来。
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超能力に目覚めたが故の破局を通過して、人々は自らの能力の発露を厳しく管理するための極めて閉鎖的な共同体を形成せざるを得なかった。

異能の果ての、伝説の二つの恐怖、業魔と悪鬼。これらに直面することになった主人公は、健気に最前線に身を置いて運命に立ち向かうのだった。

これは面白い。従来のSFにはない手応えで、一気に読んだ。
終末には謎解きの要素もある冒険譚になり、とても楽しめました。

作者はSF畑ではないのだろうな、生物学的な考証が今ひとつ飛躍しすぎの感ありで、ちとSF読みには辛い部分もある。だが、これはやはり傑作と言うべきだろう。
f0057955_21385588.jpg池田清彦、養老孟司 共著 新潮社。
私より7歳年上でおられる池田先生と、17歳年上であらせられる養老先生。お二人は虫取り仲間であるらしい。
共に生物系の科学者であるお二人にしてみれば、世の中の環境報道がとても違和感がある。

偏向している、否、マスコミ自体が判らず操作されている流行の環境論に対して、とても明快な説明と具体的な提案が示される。
食糧自給も大切だが、エネルギー自給がどうしようもなく無策である。国の無策が、国民に共有化されておらず、当然ながら危機感も醸成されていない。

何を成すべきなのか、優先順位はどうなのか、推進すべき政策・政党はあるのか、政治家は何をやっているのか、提灯持ちでない科学者の言い分を聞き給え。
理系サラリーマンの私も、何かせねばならない。そんな気にさせる末世の警告の書である。
2日は朝から溜まった仕事に取り組み、2時には追いかけてくる雑務を振り切って電車に乗る。
4時の飛行機で福岡へ。レンタカーを借りてホテルにチェックイン、すぐさま出かける。
福岡に来て時間があると、行く店は決まっている。
ヤフードームの近く、西公園手前にある焼肉ジャジャ牛。⇒ジャジャ牛
この店は、何と言っても肉の品質が素晴らしい。以前、畜産物の専門の方とご一緒したときも絶賛されたし、とにかく新鮮で超美味である。キムチも旨い。厚切りタン、カルビ、ホルモン盛り合わせなどでビールと焼酎をいただいた。この店の主は、私に所謂ニューミュージックを聞かせた大学時代の友人Aである。
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明けて3日は、早朝からスタートしてTMRセンター、そしてご近所の焼酎メーカーで焼酎粕をいただけませんかの商談。すでに飼料向けに出荷しておられ、火入れの必要などいろいろ教えていただいた。
その後は天草までひた走って、食品会社でやはり副産物の商談。ISO14000ファミリーを導入しておられるので、我々が持ち込んだ副産物のカスケード利用の話にも、熱心に対応していただけた。

途中で立ち寄った不知火の道の駅。昼食は、大ぶりの椀に山盛り浅利の貝汁定食。山口から九州にかけての定食屋でよく出くわす、私の好物である。
ここ不知火は、デコポンの発祥の地であるそうな。
f0057955_8562969.jpg小川一水 ハヤカワ文庫。
未来世界で人類を滅ぼさんとする自己増殖型の機械生物。
既に地球で破れ太陽系外円に拠点を再構築した人類は、高度な知性を備えた戦闘ヒューマノイドによる反撃を開始する。
人類の過去に干渉を始めた敵を追って、彼等もまた時間を遡る。
機械生物の急襲から若き邪馬台の卑弥呼を救ったエージェントOは、その時代の人類を組織して、押し寄せる敵を迎え撃つべく作業を開始した。
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いやあ素晴らしい。設定の大胆さもさることながら、ストーリーテリングがなかなかで、読ませる。最近は日本の作家を読み始めたのだが、我が国にも着実にこの分野の物書きが育っていたのだな。
札幌行きの飛行機の中で、残りを一気に読み終えた。

札幌市内の書店で、この作家の短編集を見つけて購入。これもまたなかなか良い。
表題作は、太陽に近接した巨大ガス惑星の超高温大気に生息する生物の話。小惑星の衝突により種族存亡の危機を予感した彼等は、自分達の感覚器官を使って惑星外への光通信を試みる。これもハヤカワ文庫。