f0057955_20313894.jpgハヤカワ文庫 軌道離脱 ジョン・J・ナンス著 菊地よしみ訳 を読んだ。原題はORBIT。
主人公はアメリカの典型的な中年男、前妻を事故で失い再婚したが、今の妻とはうまくなく、息子も誤解がもとで反抗的、幸運にも射止めた宇宙の旅だったが、これとて妻には反対される。
強引に飛び立ってみれば、感慨もつかの間、何と地球の周回軌道に乗ったところで操縦士が不慮の事故で死亡、彼はただ一人宇宙に取り残されてしまった。
狭い船内に閉じ込められた彼に残された時間は5日あまり。万策尽きた彼は、船内にたまたま見つけたラップトップPCに、自分の半生を、家族に伝えたかった本心を、赤裸々に綴りはじめる。
数十年後、死んだ彼を乗せた宇宙船が収容されるかもしれない微かな希望の元に、遺書のつもりで書き始めたブログは、しかし彼は知らぬままリアルタイムで地球に送信され、地上でこれを読む国籍を超える大勢の人間に大きな感動を与えた。
彼を救うべく、国の面子をかけて飛び立とうとする諸国の宇宙船。刻一刻と彼の生存可能時間は縮まってゆく。果たして彼は地上に戻れるのか、彼を見守る地上の億単位の人々の想いは、果たして叶うのか。

そうさキップ、あんたと同様、おれも家族を愛しているぜ!
精一杯この人生を生きようじゃないか!
おじさんには感動の一冊だ。
昨日の夜遅くにとりかかった、所属するNPO法人の会報の編集作業。
と言っても、会長が原稿を用意してくれたので、文字校正を行ってレイアウトするだけなのだ。
我々自身のネタならば、いかようにも書ける。しかし、市の施策に関する記事がトップなので、少々緊張した。
小さなNPOだが法人格をもった団体だ。間違った表現があってはならじと、お陰で行政の新旧の「ごみ処理10年計画」を読み返して確認し、随分勉強になった。
編集完了し、印刷、宛名書きして封筒に入れ、会員への投函の準備まで進めることが出来た。

同じ市内におられる会長とは、しかし本件ではお会いしていない。
メールで原稿を送ってもらい、FAXで最終案をやり取りし、最後にようやく電話で話しただけ。
会報はA4版の裏表2ページと枚数も少ないのだが、インターネット環境の進展とPC周辺機器、アプリケーションの進歩で、こんな作業が一人で一日で出来てしまう。
もう会のホームページにはPDFファイルでアップも終えた。(これは息子にやってもらった)

今や誰もが、ワープロソフトを駆使して、写真や画像を取り込んで貼り付け、多彩な文字を選び、自由に紙面を構成できる時代だ。考えてみれば、恐ろしい速度で進化していることだ。
市の生ごみ資源化アドバイザーをしている。
つい先日に稼動を始めた近所の生ごみ処理施設は、市の助成で設置され、自治会有志の方々が運営しているのだが、私達のNPOでサポートしている。
稼動一週間目でフィルターを詰まらせて、臭気を発生させてしまったので、今日は息子と散歩がてら様子を見に行った。三日前にフィルターを洗ったのに、もう付着がある。しかも横に、洗ったらしい予備フィルターが置いてある。ということは、昨日あたり自治会の方が洗ったのかな。
まだ生ごみの投入量が少ないので、床材が乾燥して舞い上がるのだ。

f0057955_2052833.jpgこの方式は、本格的な堆肥発酵ではないのだが、生ごみが「そこそこ分解して乾燥し」ハンドリングの良い処理物が確実に得られるところが優れていて、このような集合住宅での集団利用には適している。

微生物屋、堆肥屋としては、本当は土壌生態系を大きく攪乱しないまでの堆肥を作りたいのだが、この住宅が密集した団地で、しかも1~2週間で完熟堆肥を作れと言うのが無理なのだ。

燃やしたり、消滅(厳密には消滅などしないことはご存知の通り)させたりしてしまえば、有機物としては昇天してしまう。堆肥化して大地に帰すことだけが、有機物を全うさせてやる方法だ。
とは言え、ここでは電力を使っているし、この処理機の製造にもエネルギーが使われている。

市が生ごみを回収して焼却炉に入れる。収集と焼却のコストがかかり、最終処分場の寿命も圧迫する。しかし、このような分散型の処理機を配置したときのエネルギー効率を比べれば、どちらが優れているのだろう。市民への「ごみ抑制」意識には、働くこと大ではあるが。

この装置は、比較的電気料が少ないほうだ。それでも月に5千円くらいか。容量は60リットルだから、重量では40キロと言ったところか。
私の扱っているプロ用の堆肥発酵機は、60トンの容量で月の電気代が5万円だ。
と言うことは、ランニングコストを比較すれば、この装置は私の機械の150倍と言うことになる。

周辺施設や作業機も考慮しなければならないが、コストを下げるのであれば、このような装置で一次処理しても本格的な二次処理施設で大規模に堆肥化する方法が、やはり正しいのだ。

都会の生活者が皆自宅に十分な広さの庭を持っていて、生ごみは土に埋めてくれれば一番良いのですがね。
f0057955_1744579.jpg科学同人 DOJIN選書 藤原晴彦著、を読んだ。
強い相手に似せて敵を遠ざけたり、植物に似せて身を守ったり、時には相手を誘き寄せて食べてしまったりの、おなじみの昆虫の擬態だけかと思いきや、マラリア原虫やウイルスが宿主の免疫システムを攪乱させるのも分子レベルの擬態であるという。

鳴き声をまねて他人の親から餌をもらうカッコウの幼鳥は聴覚の擬態。臭いで虫を誘き寄せて受粉を狙う花や、アリの仲間認識フェロモンを発してアリの巣にもぐりこむ虫の臭覚の擬態もあるてんだから、魂消ます。表紙イラストのアゲハ蝶も、言われれば確かに後ろに頭があるように見える。攻撃回避のワザらしい。

擬態は、モデル-模倣者-情報受信者の三者間をまたぐ複雑な情報ネットワークの攪乱である、と著者は述べる。

f0057955_1761643.jpg昨年、ベランダの柚子の木に取り付いたアゲハの幼虫に悩まされたが、この本でその見事な変身振りを知り、何か愛着が湧いてしまった。

昨年私が撮った写真、アゲハは4齢幼虫までは「鳥の糞」の擬態であり、5齢幼虫は「緑の葉」の擬態であるそうな。f0057955_176459.jpg同じ奴等とは知らずに、5齢は知っていたので残したが、「鳥の糞」の虫は捨てていた私だ。面目無い。だって、同じ虫だと誰が思いますか。と言い訳。

動物の表皮の模様が、チューリング・パターンと呼ばれる数理モデルの反応拡散定数の変化で説明できる(らしい)というのも、面白い。
シマウマも、ヒョウも、ホルスタインも、パンダも、この法則で模様が決まっていたのか。
これに関するサイトを見つけたが、シュミレータを起動しようとすると私の場合はIEがフリーズしたので、ご注意。動物模様HP・名古屋大学

擬態のしくみ解明に最先端の科学で挑戦する!と帯には勇ましいが、今ひとつ食い足りないかな。エピローグの「人間社会における云々」は取って付けたよう。でもお勧めの本です。
私の大学時代の友人、ムシやネズミなどの有害生物を退治するお仕事をしている氏のブログが出来ましたので、早速リンクさせてもらいました。

私は悩み多き中間管理職ですが、氏は昔から社長です。たいしたものです。偉いです。
でも、ブログに書かれた事柄は、決して偉ぶらず、とてもリアルで、また正直です。
こんな世界もあったのか!! 興味深いブログになりそうです。
午前中は、岐阜県の農業高校で堆肥発酵機のメンテナンス。ちょうどその高校では入学試験の合格発表日であった。牛舎では、相変わらず上手に機械を使っていただいていて感謝。

昼に終わって高速道路で戻り始めた。
途中の豊田JCTの手前、鞍ケ池PAにハイウェイオアシスが出来ていたので昼食にと立ち寄ったが、雄大な公園を望むPAには、展望台とトイレとコンビニだけ。
しかしコンビニには食事スペースが併設されていたので、なんとか落ち着いて食事ができた。
それにしても広い公園だ。
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このPAから眼下の植物園まで、その植物園からはその先の駐車場やら、観光牧場やら、トヨタのクルマ作り記念館やらへ、それぞれかわいらしい移動手段が用意されている。これは、家族連れでゆっくりと遊びに来ればよいのだな。
帰路を急ぐ仕事人としては、見事な眺望もそこそこに首都圏に向かって移動を再開した。首都高速は渋谷を過ぎてやや渋滞、千葉に戻ったのは午後6時となった。

アドバイザーをしている生ごみ処理機が不調との連絡を受けていた。駆けつけてみれば、問題は単純なフィルターの目詰まり。大事に至らず幸いでした。
f0057955_2211553.jpg名古屋から、前回に味を占めて近鉄特急デラックス車両にて、快適に鳥羽まで移動した。
程なく用事を済ませ、今度は仲間が走らせてきた車に同乗して、津でエンジン・ウエルダ(工事に使う発電機・溶接機のこと)を返却し、揖斐川を渡って工場で部品を受取り、長良川堤防道路を快走して北上、途中で木曽川の東側に出て、各務原からは木曽川の峡谷を右に見ながら併走して美濃加茂に到着した。
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f0057955_22122633.jpg美濃加茂は、駅の名前はJR美濃太田、古くは中仙道の太田宿である。
昨日まで読んでいた、若き池波正太郎が旋盤工の指導員として半年を過ごした太田であった。

駅前通りには、何故かブラジル人の子供達を預かるブラジル人学校?があり、ちょうど下校時だったのかエキゾチックな顔つきの子供達が、道路に群がりながらバスを待ち、体中で異国の言葉を発している。彼等の親を雇用する企業が、しかも複数、近くにあるのだろうか。
同じく駅前通のキリスト教会は、壁面にポルトガル語?が大書してあり、小さく日本語で「キリストは日本人の主である」と付記してあった。

駅前にあった坪内逍遥の胸像。この町の出身であった。坪内先生、随分と太田も変わったのですね。
f0057955_23104448.jpg講談社文庫 おおげさがきらい 池波正太郎のまさかの初文庫化エッセイ集だ。
しかも、これら埋もれたエッセイが本五冊分あり、その第一冊目だという。
40歳前後の、ちょうど「錯乱」で直木賞を取った前後の、覚悟に満ちて若々しく人生を謳歌する池波正太郎がここにいる。
後年の独特の文体は、片鱗を見せるがまだ完成されていない。
形容や擬態語にカタカナを多用した表現が意外で驚かされる。
軽めで、何より元気で、ノリも良い。小品故に気兼ねなく書けているものがあるからだろう。

朝に出社してから定例の報告書を二通作成し、夕方の会議をこなし、定時までびっしりと仕事。やはり生じたかの出張のため、その後一旦自宅に戻って荷支度をして、東京駅から新幹線に乗り換える。これで夜の10時には名古屋に着いてしまうのだから、恐ろしい世の中である。
流石に疲れたのだが、この池波正太郎の若き日々に触れて、何やら気分は浮き立っている。

池波正太郎の著作は、戯曲以外では真田太平記を除いてはほとんど読んでいたはずだ。
真田太平記だけは、じっくり読もうと老後の楽しみにとってある。
しかし、ここに未読の随筆集がまだ四冊も読めることとなった。
これは堪えられぬ。このことであった。
先日受けた電話。遠方の見ず知らずの設計コンサル会社のご担当からの問い合わせだった。
生ごみと牛糞とを堆肥化する施設を計画するのだそうで、当方の堆肥発酵機で提案して欲しい、と仰る。

生ごみの中身はどんなものですかと聞くと、事業系の生ごみだが詳しいことは判らないとの事。水分はどの程度ですかと聞くと、これも判らないので一般的なところで考えて欲しいとのお答え。では80%くらいでしょうかね、としておいた。

牛糞は乳牛からですか、肉牛ですか、水分条件がかなり異なりますが、と聞けば、多分乳牛であるとの事。前段で固液分離はしないのでしょうか、乳牛で糞尿込みだと全体の水分は90%くらい見込まなければならないのですが、と聞けば、固液分離の考えはないとのお話だ。

堆肥化は水分(かさ比重)条件が一番に大切です。生ごみも、牛糞も、これだけ水分が多いと、水分調整材がかなり大量に必要となりますが、何かありますか、と聞けば、やはりオガクズでしょうかねぇ、近年あまり発生しないですよねぇ、と他人事のように仰る。

堆肥化は水分調整が厄介なので、この点でバイオガスを選択する場合がありますよね、消化液の処理の問題はありますけど、と振ってみたが、その考えはないらしい。

では、両者の発生トン数から見た標準的な施設レイアウトを計算してお送りしますので、ご参考になさってください、と申し上げて電話を切った。

正直、これでは提案の仕様がない。
しかし、用語の説明から必要な相手に、一度の電話で済む話ではない。
標準的なレイアウトをたたき台にして、先方に勉強してもらわねばならないだろう。

この手の依頼は実に多い。設計コンサル会社は、図面を引き積算するのはプロでも、建物以外の知識はお持ちでない。特に牛舎や堆肥舎、堆肥処理施設など一般的ではない特殊物件の設計ノウハウなどまず知らない。で、ポンと我々に投げてくる。メーカーならば機械売りたさに図面を出すだろう、と言ったところか。

彼等はこうやって得た数社の提案を元に、設計図を書き、費用を積算する。
多くの場合、彼等の仕事はこれで設計費をもらってお仕舞となる。

お役所がこの設計図と予算を元にして競争入札にかける。
世知辛い世の中で、身の程を弁えた古き良きゼネコンさんが少なくなった。仕事が欲しい地元の建築会社などが、とんでもない金額で落札しておいて、メーカーを呼びつけ値引きを迫ったりする。メーカーが付き合えぬと、似たような機械を据えて誤魔化したりする場合もある。
私も一度やられたことがある。付随した牛舎設計への協力はタダ働きとなり、別な機械が納まった堆肥処理施設そのものは失敗して「戻し堆肥」ができぬままだが、誰も責任を取らない。

或いは、そうなってはいかぬと、お役所が特定ゼネコンやメーカーを呼んで事前に打合せをしたりすると、やれ談合だと怒られる。
最初から、この装置と決めていただき、設計段階から呼んでいただければご協力も出来るのだが、随意契約で押し切れるほどお役所のご担当に知識はない。これは仕方がない。

コンサルさんも、これで金を貰う設計の材料にするのだ。少なくとも旅費程度は出すから打合せに来い、と呼んで貰っても罰は当たらぬと思いますがね。
f0057955_1827048.jpg創元SF文庫から2話合本版で再版されてきたキャプテン・フューチャー全集も、この短編集をもって終了となった。いやぁ、堪能させていただきました。

高校一年生の通学中にトラックにひかれて右足の骨にひびが入り入院、ギプスで固めれば後は暇なだけの外科病室で、夢中になって読んだのはドイルのシャーロックホームズ・シリーズと、バロウズの火星シリーズ。お陰でミステリとSFにドップリはまり、次に読み出したのがスミスのスカイラークやレンズマン、そしてこのキャプテン・フューチャーだった。

f0057955_1821927.jpg今でも手元にある当時の本。ハヤカワ・ホケットブックスで出ていたキャプテン・フューチャーの三冊である。ちなみに日本では紹介第一作の「太陽系七つの秘宝」は、昭和45年3月の第3版となっている。価格は270円。

この後、シリーズはハヤカワSF文庫に移行して発行が続いたが、最後の3冊を買い逃してしまい、今回の創元社からの復刊でようやく全てを読了することができた。しかも、今までまとめて出版されたことのない短編を一挙に読めるのが今回の企画だった。

そして、まだ嬉しい話がある。このシリーズの訳者にして、我が国のSFファンには宇宙大元帥と恐れ崇められる野田昌弘サンのオリジナル・キャプテン・フューチャー・ストーリーが別巻として今年発売になる、と言うのだ。楽しみに待っています。