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f0057955_8371066.jpgテルマエ・ロマエⅣ ヤマザキマリ著、エンターブレイン

ついに出た第四巻。今度のルシウスは何やら長期滞在の様子。女性運の良くない彼にも、希望の光が射すのだろうか。
ますます目が離せません。

つい先ごろ深夜アニメにもなり、ネット動画で見る事が出来た。
所謂フラッシュアニメだが、かえって紙の上のマンガの雰囲気が残っていて良いのかもしれない。

今度のGWには、映画が見られる。家族一同で楽しみにしているのだ。

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ルナティックガーデン 祥伝社
予告探偵-小塚家の謎- 中公文庫
共に、太田忠司 著

阿南シリーズに味をしめて、太田さんの著書に手を伸ばしている。
ルナティックガーデンは、その名の通り、月にお庭を作る話。

偏屈な老人達が集まった月面の隔離された別荘。ここに庭を作るためにやってきた主人公のエチカは、彼らと交流しながら仕事に取り組んでいく。

散りばめられた謎、別荘内の出来事が重なり、夢に導かれた結末が迫る。
帯にSFミステリーと書いてある。私にはミステリーの味付けをした、しっとりとしたSFの佳作と感じた。だからSFミステリーなんでしょ、ああそうなのか。

予告探偵の二作目は、今度は短編集だった。前作ですっかりやられているから、今回はと身構えて読み進めたが、やはり作者の術中にハマり、楽しく読み終えた。
これは凄い、傑作だ。並行宇宙、輪廻する魂。これはSFだ。見た目がミステリーだから、これを知らぬSF好きの読者もいるだろうな。

SFの皆さ~ん、ここに素晴らしいSF作品がありますよ~、と声を大にして言いたい。
f0057955_21302843.jpg笹本祐一 著、創元SF文庫

まったく、この作者の存在を知らなかった。
1984年と云うから、今から27年前の痛快青春超特急超能力行って来いSFである。

解説によれば一世を風靡したらしい。確かに等身大の高校生が、プロの探偵や軍事組織を向こうに回して、縦横無尽の大活躍。
勢い余って月まで行って異星人との交戦に遭遇しながら、これを他人事のように地球に戻ってくる話は、主人公と同年代の読者には面白かったろう。物量豊富なのも時代である。

作者にすれば「今更の感」がある再版であるようだが、確かに今読んでも面白く、再版の価値はある。

時代背景が大きく変化しているのだが、当時の熱がまだ十分に感じられるのは傑作の証である。
四部作だと言うから、これから続きも出るのだろう。楽しみに待っていよう。
f0057955_19372084.jpg原題はTHE CHRONOLITHS、R.C.ウィルスン、茂木 健 訳、創元SF文庫

未来から転送されてくる巨大な石碑クロノリスが、その出現エネルギーで地球上の都市を次々に壊滅させて行く。

最初の出現に居合わせたフツーの米国人スコットは、その運命に翻弄されながらも、かつての大学の恩師に導かれて、仲間と共にクロノリスの出現を予言しこれを破壊すべく活動に加わる。

クロノリスの出現が重なるにつれ、徐々に世界はこれを送りこむ未来の独裁者に影響されて行く。過去に干渉することで、彼は歴史を我がものにしようとするのだ。

これに気付き、対抗すべく動くスコット達、彼らが最後に辿り着いた結論とは、そして秘密を守り過酷な運命に身を投じた者達の運命は、、、

多分、その節目節目で数多くの並行宇宙が誕生しているのだろう。自分が過ごしてきた歴史とは違う過去への干渉。読み終えても、何度も考えさせられ読み返した命題である。
重厚且つ壮大、パラドックスを恐れぬウィルスンの傑作。
f0057955_18544844.jpg無伴奏、太田忠司、東京創元社
文庫で出た阿南シリーズを、「刑事失格」「Jの少女たち」「天国の破片(かけら)」と読んできて、出版社の思惑のままに単行本をネットで頼んだ。

時は過ぎ、二十二年ぶりに実家を訪ねて、衰えた父に直面する阿南。父の漏らした言葉を手繰り、知らずにいた両親の秘密に辿り着く。故郷での同級生だった彼女との再会、そして事件は起こった。

十三年ぶりの阿南シリーズ第四作、壮年の風格を湛える彼の成熟に満ち足りて、本を閉じた。静かな余韻の傑作です。

f0057955_1855295.jpgさて、これも四作目。天冥の標(しるべ)Ⅳ、小川一水、ハヤカワ文庫
もう、怖いものなしの、驚きのSFエロ萌え小説。凄いよ。

創造主の言葉に従い、性愛の奉仕をもって人に従うアンドロイド達。第一巻で登場したラバーズのリーダー、ラゴスの過去が明かされることになる。

今巻は、彼らの小惑星の中での出来事が克明に描写される。
第二巻に主役をはったプラクティスが絡み、最後には第三巻に登場したアンチ・オックスも役割を得ている。

ラバーズと言えば、P・J・ファーマーの(当時の)問題作を思い浮かべるが、いやはや時代は進んでいるのだね。次を楽しみにしていよう。傑作です。

f0057955_18551474.jpg予告探偵 西郷家の謎、太田忠司、中公文庫
阿南シリーズに味をしめて、太田さんの著書に手を伸ばしている。

実にありがちな、傍若無人で尊大な名探偵と、常識人にして狂言回し役の探偵の友人。
没落の様子がある名家の一人娘の婚約話に、謎の匂いがする。

面白く読み進めていると、作者の用意した地雷を踏み始める。
あれっ、おやっ、何だこれ、えええっ!

あははは、やられました。これは傑作、大傑作。太田忠司、侮れぬ。このことであった。
刑事失格、Jの少女たち、天国の破片(かけら)、太田忠司 著、創元推理文庫。
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新札幌の書店で本を漁っていたら、装丁に呼ばれた。
手に取ってパラパラして、しかし既に二冊ほどを手に持っていて、旅先だしこれ以上はと、一度は平積みに戻したが、しばらくしてから思い直して「刑事失格」を買った。10/2の事である。

一緒に求めた「3.11の未来―日本・SF・想像力」という重たい本。SF読みとしては、これは今 読んでおかねばならぬだろう。もう一つは周期律表の文庫本だったか。お陰で旅の荷物が重かった。

札幌からの帰路で刑事失格を一気読み、帰宅してネットで続編と続々編を注文した。
自らの推理が災いして事件に巻き込まれ、警官を辞めた阿南巡査。正義感と倫理感が強く不器用な彼は、それ故に婚約者を失い、ストイックな人生に縛られている。警官をやめて三年、コンビニで出会った刑事と話す彼の記憶が物語る趣向である。

伏線が張られたミステリ仕立てだが、青年阿南の魂の遍歴を見守りつつ、そう暗くもならず重過ぎもせずサクサクと読み進められるのは作者のストーリーテリングの巧さだ。
二作目、三作目も、ここ数日であっという間に読み終わり、創元社の思惑通りに今年の夏に出た13年ぶりの阿南シリーズ第四弾「無伴奏」をネットで注文する私である。
このところバタバタしていて、読書の記録を残していなかった。
少し振り返って書き残しておこう。

f0057955_9354282.jpgねじまき少女(上下巻)、パオロ・バチガルピ 著、
田中一江・金子浩 訳、ハヤカワ文庫SF

これは参りました。
読書で苦痛を味わうのは久し振りだった。
突拍子も無い設定は凄いが、前作で語られたものか、その説明は少なく、生態系を破壊したらしい遺伝子組み換え病原?も何が何だか判らない。そもそも主人公のエミコの動力源って、ゼンマイなの?

その辺りの説明を求めて読み進めれば、いつまでも謎のまま。さあ、主人公の脱出行になるのかと思えば、いつの間にか階級闘争じみたクーデター劇になって、濃い人物が入り乱れて、ついて行けなかった。理解不能です。そうだ、この本で疲れて、その後の読書量が減っていたのだ。

f0057955_9355491.jpg結晶銀河、2010年の年間日本SF傑作選、大森望・日下三蔵 編、創元SF文庫

このような短編集には必ずある、これまた理解不能の数編を除き、これは楽しめました。
後書きで、読んでおくべき本が紹介されているのも有難い。裏に書かれた通りの、SF濃度の高い充実の一冊だ。

宇宙大密室 都筑道夫 著、創元SF文庫
おお懐かしの復刊だ。読んだ事があるはずだったが、幻の中編も掲載されているとあっては、これは買いである。昭和49年と云うから、もはや大昔の作品群で、なるほど当時の匂いがする。鼻たれ天狗のシリーズは良い出来だ。都筑さん、日本SFの基礎を作った方だった。

天皇はなぜ生物学を研究するのか 丁宗鐡 著、講談社+α文庫
博物学から生まれた生物学、発明された顕微鏡に群がる英国の上流階級の話、ヨーロッパ王侯貴族と階級論、面白い本だった。

お笑いで支店長になりまして 矢野宗宏 著、遊タイム出版
こんな本をネット注文すること自体が、私の「ねじまき少女」から受けたダメージを物語っているだろう。関西の金融機関で支店長を務め、その後は独立してユーモアコンサルタントを名乗る著者の半生記。字が大きくて、すぐ読める。上司に恵まれ、埋もれていた自分の才能を開花させたオジサンの物語。

この数ヶ月、読んだ本が少ない。まあ忙しくて、移動時間もPCを開いている事が多かったのだ。
もっと余裕を持って、人生を送りたいものである。
f0057955_1164878.jpg佐々木 譲、ハルキ文庫
北海道警察シリーズ第四弾が文庫化されていた。

第三巻で、小島が発砲の上で逮捕したストーカー男が、病院から脱走する。サミット警戒で全国の県警から警官が集結する札幌で、しかし男は姿をくらましてしまう。
一年が過ぎて、この男が神奈川県で強盗未遂をしでかしたことが判明、同時期にストーカー被害者には脅迫メールが届き始めた。

並行して複数の事件が、そしてそれらを追うお馴染みの警官たち、小島、津久井、新宮、佐伯の活躍が、スリリングに、地道に、唐突に、或いは苦みを伴って語られ、結末に向かって収斂していく。流石の、圧倒的な充実の一冊。佐々木譲さん、有難う。

ねじ巻き娘を苦労しながら読み進めていて、先日の出張の終わりに何とか下巻の大団円間際まで。よおし、この札幌行きでまずはこれを読み終えようと、さあ空港に向かうバスの中で文庫本を開いたら、上巻を持って来てしまっていた、この間抜けめ。

舌打ちしながら、巡査の休日を読み始めたのだが、空港バスの中、空港の待合い、飛行機の中、そしてJRで新札幌に向かう途中で夢中で読了した。実に幸せな移動時間であった事だ。
f0057955_20414022.jpg上橋菜穂子 著、偕成社。守り人短編集、四編収録である。

守り人シリーズの本編を10巻まで読み終えて、その興奮が冷めやらぬうちに、買い込んであった別な文庫本を持って出張に行ったのが失敗だった。

うってかわって軽妙洒脱、なかなか面白いミステリもので、面白いんだ、面白いんだと自分に言い聞かせて読み進めていたのだが、イカン!、遺憾!バルサとチャグムの濃厚な物語から、私の波長が戻っていないのだ。

読みたい本があるのを、私の潜在意識が訴えている。
仕方が無い、ここは自分に正直にならねばと、京都駅に着いたら大型書店を探した。京都駅前のヨドバシカメラの6階に大垣書店を見つけて 児童書の棚を探せば、あったあった。やはり私はこの本を読む運命であったのだ。出張だと言うのにこんな重たい本を買い込んで、嬉々としてビジネスホテルで読みふける。

ジグロが生きていた頃の、まだ小さいバルサにタンダが絡む物語などが四編。嬉しいなあ。
チャグム以前の物語が、もう少し読みたいなぁ。

そして、チャグムが壮年王となった物語も良かろうなぁ。しかし、一般に女性作者は、利発で健気な若者までは好きでも、男性ホルモンに満ちた男や、脂の浮いた実年オヤジは書くのが嫌だろうな。
読み終えて満足した。ようやく、別な本を読めるようになった。筈である。
f0057955_1922857.jpg上橋菜穂子 著、偕成社

新潮文庫で7刊まで出ていて、現時点で文庫化されていない最後の物語「天と地の守り人」は三部作である。

これは当然、続きを読まねばなるまい。
偕成社から軽装版で出ている三冊を見つけて購入した。

実に面白かった。
境遇と経験が鍛えた青年皇子チャグムが、果敢に運命に挑む。
これを守り助けるバルサ。各々の立場で、役割を悟って機敏に働くシュガ、トロガイ。そしてタンダの危機。

「父上、おさらば!」チャグムの声が、まだ耳に残っているかのようだ。
f0057955_8442052.jpg上橋菜穂子 著、新潮文庫

圧倒的なオリジナリティ、第一作目にして大規模で綿密に構築された世界観、他に類を見ない物語だ。これは大層面白い。

所謂ファンタジーもので、児童文学として書かれたのだが、文庫版では大人向けに「漢字を増やした」のみ手を入れたそうな。

短槍の名手バルサは、ワケありの過去を持つ女用心棒。
彼女が救い、その後に庇護を依頼された帝の第二皇子には、精霊の卵が産み付けられていた。この卵から雲を吐く精霊を孵化させねば、この地は旱魃に襲われる。バルサは仲間の呪術師たちとこの皇子を守るべく、伝説の存在たる精霊の天敵や帝の放った狩人との戦いに身を投じる。

しゃばけシリーズの、読み終わった文庫本の巻末紹介欄で目にとまり、面白そうだとネットで取り寄せてみた。その後、しゃばけの畠中さんもこの著者のファンである事を知った。
守り人シリーズ全10巻、あと9巻が私が読むのを待っている。鉱脈を探り当てた気分だ。

4日の午後から札幌にやってきた。
ここ二日間は吹雪で大荒れだったようだが、着いてみれば静かな、しかし冬に逆戻りの札幌である。