カテゴリ:趣味の読書( 170 )

文庫本と新書で凸凹になりそうだった新宿少年探偵団のシリーズだが、うまい具合に全てを新書版で買い揃えることができた。ついでに、霞田史朗シリーズまでほぼ揃ってしまい、藤森涼子シリーズも四冊ゲットしたのは上出来であった。
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いつもは買わない新書版で、太田忠司の本がずらりと並ぶ。一冊105円から、ネットオフ有難う。これで後は、少年探偵狩野俊介シリーズが創元から文庫で続くのを待てば良いわけだ。頼みましたよ、創元さん。

実は昨日は風邪をひいていた。朝起きたら悪寒がして、それでもやるべきことがあったから午後から会社に出て上守備だったのだが、震えながら帰り、後は布団の中にいた。お陰で買ったばかりの宿少(こう略すらしい)を、惜しげも無く読み飛ばしている。

今日は熱も下がって、念の為に行きつけのクリニックによれば消化薬を処方されたのみ。長引かなくて良かった。今日は頑張って遅れを取り戻したから、明日からは予定通り札幌に向かうことができる。さあ正念場だ、頑張らねばな。
しばらく東直己にハマっていた。ススキノ探偵シリーズ、私立探偵・畝原シリーズ、榊原健三シリーズから始まって、文庫で手に入るものはほぼ全て読み終えたはずである。この作者は癖になる。
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ちょうど去年の今頃にハマっていたのは太田忠司だった。やはり手に入る文庫本は読んだつもりでいたが、甘栗シリーズを外していた事を知り、読めばこれまた面白かった。ここでカメオ出演する探偵・藤森涼子シリーズのオムニバス版が文庫で出ている事を知り、これまた読んでみた。で、藤森シリーズを探して古本屋を覗いたところ、藤森涼子には出会えなかったが新宿少年探偵団シリーズの数冊を手に入れる事ができ、喜んだわけなのだ。

かの怪人二十面相で有名な少年探偵団を、現代(といっても、書かれたのは1995年)に蘇らせるもので、しかも数段スケールアップしている。一昨目をあっという間に読んで、さあ実は二作目が抜けているのである。順番通り読み進まねば気が済まない性格なので、これは困った。困って、別な本「まいなす」を読み始めたのだが、この土日でまた古本屋周りをしようかと考えていた。
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今日の朝、起きてひらめいた。そうだネットにも古本屋あるじゃん。早速検索してみたら、残りの五冊を無事注文することができたのは嬉しけれ。けど文庫ではなく新書版なんだよなあ。四冊が文庫で五冊が新書だと、順番に並べると凸凹して嫌だなぁ。いっそ、文庫で買ったものも古本の新書で買い揃え直そうかしら? と思ったら、新書版の第一作は手に入らないのであった。世の中、うまくいかないのである。

ところで「勇気凜々、琉璃の色〜」の唄、今の若者は知らないのね。そりゃそうか、私はオジサンだから知ってるぞ。
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この出張は移動時間も多く、本が読めた。中でも出色は、東直己の短編連作「儀八郎商店街」だ。

昭和が匂う、古き善き商店街にとぐろを巻く爺さん婆さん達の活躍劇。不思議な出来事、影から見守る者達、そしてこれを害せんと狙う存在。

日常の中に巧妙に差し込まれた異界は、半村良を思わせる。ラストが温かく切ない。
やるなあ、東直己。堪能致しました。
f0057955_10181554.jpg横になり、ずっと東直己の探偵ものを読み耽っていたら、頭の中がすっかりハードボイルドだぜ! になってしまった。
昨夜は就寝前に、別ジャンルの文庫本を手に取った。
スターフォース 最強の軍団、誕生! B・V・ラーソン
中原尚哉 訳 ハヤカワ文庫

郊外の牧場に暮らす大学教授、専門はコンピュータサイエンス。夜半に突如現れた異星の船に拉致された彼は、過酷な試練を経て船の指揮者として認められる。
船は地球上に700以上いて、それぞれが指揮者として的確な人間を無造作に探していたのだ。

船のAIを通して状況を探るうちに、敵の襲来が知らされ、指揮官を獲得した船達は迎撃のために宇宙空間に飛び出す。教授は周囲を可視化する方法を編み出し、仲間の船と協力して、未知の敵船の破壊に成功。とりあえずは初戦を勝利で飾るが、、、

軽めでテンポ良く、コンピュータゲームの様な次から次からの展開に、思わず一気読みしてしまった。終いには、教授は船を構成するナノマシンを自らの体内にも取り込んで、無敵の兵士と化し、地上に降りて侵攻を開始した敵ロボット群と闘うは、核地雷や戦車からの戦術核砲撃はバンバン破裂するは、仲間の強化兵士は次々に死んでいくはと、まあ如何にもな単純明快、明朗闊達なアメリカ活劇。この精神性の欠如が凄い。
米国のコンピュータ学者って、こんなにマッチョなのか! 肉食人種恐るべし。

なお原作は、アマゾンの電子書籍プラットホーム・キンドルに発表されたそうで、訳者も本を見ず、キンドル画面から訳したそうである。時代だなぁ。
原題の「Swarm」は、蜜蜂の分封を意味する言葉。宙軍歩兵隊を擁するAI船団が、群れをなして地球を離れ、次なる拠点に移る様を言うのだろう。
そして、最後にまさかの急展開。苦渋の選択、そして物語の始まり。
ネオニコチノイドには気をつけていただきたい。
f0057955_11412211.jpg明智光秀 正統を護った武将 井尻千男(いじりかずお) 海竜社 2,000円+税

BookWebで、井尻先生の新著アラームが鳴って暫し。読まねばならぬ本として買い置きてまた暫し。つい軽めの文庫本に手が伸びていたのだが、しかしようやく手に取れば実に面白い歴史読み物であった。

中世的権威に立ち向かった改革者「信長」と持ち上げて、三日天下に終わった逆賊として明智光秀を貶めるのが、その後400年に亘る風潮である。本能寺の変は、果たして刹那の謀反劇であったのか。

信長より六歳年長で、兵法・砲術・築城に明るく、しかし和歌や連歌を愛した教養人たる光秀。自ら仕え支えた主君が暴君・アナーキストと化して国体を危機に陥れようとする時、光秀は何を想ったのか。周囲はどう動いたのか。その後の幕府が、光秀を反逆者と云い続けるのは何故なのか。

後は読んでのお楽しみ。
歴史物など滅多に読まぬ私だが、武将達の真髄が生き生きとして蘇る感があり、結末は井尻先生の先の著作「男たちの数寄の魂」に繋がっている。前著と同様、いやそれ以上に、成程そうだったに違いない!と納得して読み終えた。
f0057955_184422.jpg鈴木宗男が考える日本
鈴木宗男・魚住昭・佐藤優、洋泉社新書

前半は鈴木氏と佐藤氏の対談「鈴木宗男、自らの政治姿勢を語る」、後半は魚住氏と佐藤氏との対談「戦後保守政治と新自由主義、そして官僚制」。本書は佐藤優プロデュースによる「政治家:鈴木宗男への入門書」である。

利益誘導型の手法とその類稀な行動力が災いして批判を受けることも多かったが、草の根を歩き自らを問い直した、本来真っ当な保守主義政治家、現実的で勤勉実直な鈴木氏の再起動に期待したいという気持ちになった。そういえばあの頃、鈴木氏をあげた検察も、煽ったマスコミ、そして野党も便乗して「疑惑の総合商社」だの「ムネオハウス」(何故か現地ロシア語ではなく奇妙だった)だの騒いだのだけれど、かなりその経緯は怪しかったと言わざるを得ない。結局は別件逮捕。時代は変わるのである。
札幌市内の書店で、平積みになっていたものを買い、楽しく読み進んだ。

奇跡の脳 -脳科学者の脳が壊れたとき- ジル・ポルト・テイラー 竹内 薫 訳、新潮文庫
現役バリバリ、順風満帆、新進気鋭の若き米国女性脳科学者Dr.テイラーが、ある朝の目覚めと共に頭の芯からの痛みを感じ、倒れ、あろうことか自分が出血性の脳卒中に遭遇したことを知る。科学者としての好奇心で、彼女は失われゆく自らの脳の機能を観察しながら、病院に担ぎ込まれる。

この本は、脳手術を受け、退行した脳の機能を取り戻し、失ったものは新たに補完して、病前とは異なる新たな自分を確立した彼女の8年間の記録である。左脳を損傷した状況からの回復、脳の各部位の機能の再統合、そして後半では右脳の存在の意味が語られる。

後半は趣きが変わって、生き物が属しやがて還る宇宙への窓口としての右脳が語られ、まるで宗教書のような内容になるのも面白い。スピリチュアルを求める米国での50万部は、この辺りのことだろう。巻末の養老氏、茂木氏の解説も豪華。
千歳空港の売店で、本に呼ばれて手に取り、自宅までの移動時間に読み終えた。
f0057955_20494135.jpg先日ラーメン屋でマンガ誌を開いたら、何と!ホーガンの出世作「星を継ぐもの」がマンガになっている。

しかも星野之宣。うーむ、これは知らぬうちに凄いことになっていたのだな。

題名こそは第一巻のものだが、既にガニメアンが、ジェヴレン人が登場していて、何やら展開は早いようだ。急いでネットで既刊を取り寄せたわけなのだ。

ハントとダンチェッカー、融通のきく英国物理学者と頑固な米国生物学者は、お国柄は反対だろうと思うのだが、この二人の掛け合いが実は物語を大きく進展させていくのだ。

雑誌連載では、もはやヴィザーの介入を受けてシャピアロン号は通常空間に浮上しようとしていた。このままでは、この題名のまま一気にGiants’ Starまで進みそうだな。楽しみにしておこう。

そうそう、久し振りにテレビを見ていたら、ジョン・カーターなる映画が公開とか。
ン?!、 ジョン・カーターだと! バローズの火星シリーズの主人公ではないか! とネットで調べたら、ディズニー映画だった。

f0057955_21343139.jpgトレイラーを見れば、比較的 原作に忠実なようで安心しながら、バルスームの赤色人の王国ヘリウムにおわす絶世の美女デジャーソリス(ちなみに卵生の生物)を、何方が演じるのかが心配である。

何せ、私を含めて我が国の火星シリーズの読者と云えば、武部 本一郎画伯のデジャーソリスのカバー絵(⇒右)が頭に染み付いている。
どうか、あまり筋肉質でやんちゃなお姫様にならないように祈りたい。
それにしても世の中、なかなかSFになってきた。
f0057955_185428.jpg月読(つくよみ) 太田忠司 著、文春文庫

死者が、その現場に最期の思いを託す依代「月導:つきしるべ」を残す。その思いを、「月読」と呼ばれるごく一部の者が読み解く事ができる。

そんなパラレルワールドで起こる青春SF・ミステリー。
500ページに及ぶ長編で、先日の新橋・東京ドームの行き帰りに読んで、今日の午後から一気に読み終えた。結末に向かって、急速に重層的に収斂するストーリー。堪能いたしました。
同じ設定で、続編もあるらしいので、楽しみにしておこう。

今日は日曜日。寝坊して、家の掃除をして、NPOの理事会議事録をまとめて、年度末までの会計を見とおした。来月の理事会までに、今年度の会計収支と事業報告と、新年度の予算を作り上げる必要がある。今年は納税でドタバタせぬよう、気を付けて作業を進めたいもの也。

夕方に比較的大きな地震があった。昨日も二度あったらしいが、これは自転車に乗っていたので判らなかった。地震列島 日本、そろそろ一年なのだな。
f0057955_13114637.jpg書名 「日本再生」の指針
副題 聖徳太子「十七条憲法」と「緑の福祉国家」
著者 岡野守也、太陽出版、1,500円+税

サングラハ教育・心理研究所主幹 岡野先生の講義録を中心として構成された一冊。

前半は、聖徳太子が定めた我が国最古の憲法である「十七条憲法」の現代語での意味を深く掘り下げる。
続く後半では、この十七条憲法による国造りの精神と、その根源で一致・共鳴する現代スウェーデンの国家理念を概説する。

戦時中、皇国史観に都合よく誤読されて利用され、そのため昭和の時代に、左の学者から総攻撃された聖徳太子と十七条憲法。
そもそも架空の人物だ、勝った側が後から捏造した憲法である、果てはキリスト教徒であったなどの珍説(これは岡野先生は書いていない)まである有様だが、岡野先生は「十七条憲法は唯識を学び悟りを得た人物による作」と仰る。
何せ、キリスト教神学を修め、加えて仏教に造詣深く、唯識に関する著作が多い賢者:岡野先生の言葉であるから、これは説得力がある。仏教を深く知る岡野先生の解釈で、今 我々が十七条憲法の真髄を学べることは、有難いことである。

発布された年代から見ても世界に誇るべき理想を掲げた十七条憲法。高邁な理念ばかりではない、極めて具体的に「高級官僚は精進せよ」「公正な裁きをせよ」「勝手に税を徴収するな」などとも書いてある。摂政の地位を確保して後、蘇我氏と協調・時に牽制しつつ改革を進めた聖徳太子は、菩薩であり、且つ極めて現実的で有能な政治家でもあった。

一方で、現代スウェーデンの国家戦略として選択された社会民主主義が、憧憬の念をもって紹介されている。若く優れたリーダーの主導による高い理想と、しかし非常に現実的で実際的な国政運営。市場は必要だが資本主義の形はとらない。原発を早期に選択し、現在は廃止を決めている。グローバリズムの危険性を早い時期に喝破していた、まさに理性的な「大人の国」の先行例である。社会主義の実験国家と云った見方もされる所以だが、その歴史には確固たるものがある。

権利のみならず参加してこその自由、万人における平等と、社会的存在である人間なればこその連帯を正しく意識すること。スウェーデンが標榜する緑の福祉国家は、十七条憲法の理念とも一致するのだと説く。

まさに日本再生はここから発想せねば覚束ない。
在りがちな「できるところから」論では空回り、自己満足に過ぎず、必要な手当てを遅らせかねない意味でむしろ危険である、とは小澤徳太郎先生の言葉だ。政策を掲げて民主主義の場で議論する必要があり、そのためには学者が真摯に議論をし、また国民がそれらを理解し優れた政治家を育てて代表者として議会に送るべく行動せねばならない。

左でも右でもない、神様でも仏様でもなく(菩薩であられるかもしれない)、ましてや新興宗教の教祖ではない、実直な研究者・実践者としての岡野先生は、既にその活動を進めておられる。
⇒持続可能な国づくりの会ブログ
⇒持続可能な国づくりの会ホームページ
この本の読者が増え、読後に「正しく憧れる」方々が増えて欲しいものだと感じている。

ご本人による紹介がYouTubeにあったので貼っておきます。この本の発行は2011年7月です。
みんな読んでね。
この出張に持って行った本が三冊。どれも当たりで、楽しい移動時間だった。
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奇談蒐集家 太田忠司 著、創元推理文庫
予告探偵「摩神尊」と同様に、時空をまたにかける奇談蒐集家「恵美酒一」とその美貌の助手、彼らもまた太田宇宙に浮かび漂う魅惑の住人なのだった。
短編集だが、最後にそれらが総括されて、読者はまたもや呆気にとられる。素晴らしい傑作でした。

ハレーション・ゴースト 笹本祐一 著、創元SF文庫
妖精作戦PARTⅡとは云うが、設定が同じ高校で、前作の主人公の友人が今度の主人公と云う事で、特に話の続きではないのだな。学園祭の自主映画作りに忙しい彼らの周辺で、怪しい事件が頻発する。やんちゃに、果敢に、若さにまかせて、無謀に立ち向かう彼らを巻き込んで、とうとう彼らの宇宙が崩壊を始める。痛快青春ノンストップSF、余韻は少し胸キュン。なるほど傑作でした。

天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河 小川一水 著、ハヤカワ文庫
植民星で日々を暮らす過去を持つ農夫とその娘、片やもの凄い時間スケールで、超々大昔に芽生えた魂の成長とデジタル転生が、そして銀河最大の敵の誕生と攻防が語られる。これまでのストーリーが一気に繋がる。さあ迫りくるものは何者なのだ。続きが楽しみな、これも傑作。

と云う訳で、千葉、札幌、帯広の移動時間に堪能したのだ。傑作揃いで楽しい時間だったけれど、この濃厚さが出張疲れの原因の一つであったかもしれない、と思いついた。贅沢な悩みである。