カテゴリ:エサと飼料化( 66 )

都内の大学に遊びにいった。
牛乳の中の機能性成分として注目されている共役リノール酸について、話を聞いてきた。
共役リノール酸は、普通のリノール酸(脂肪酸の一種、炭素数が18でそのうち2つの二重結合がある)の二重結合の位置が共役(C=C-C=C)になっている構造。
筋肉を落とさずに増強しながら、体脂肪が減少する。ガンや心筋梗塞に効果があるなどと、注目の成分なのだ。
反芻動物の第一胃(ルーメン)で、微生物により合成されるので、牛乳や牛肉に微量だが含まれている。
放牧で青草を食べる牛や、もともとリノール酸を多く含む例えば「おからサイレージ」を給与すると、乳中に増えるのだそうだ。
いたずらに高脂肪を追わず、「牛乳は太る」の誤解を逆手に捉えて、低脂肪でしかもダイエットの機能性あり!で、牛乳を差別化できないか。
是非とも取り組んでみたい。
重なるときは重なるもので、またまた飲料かすの飼料化で打ち合わせ。
大手メーカー 二社を訪問した。
午前中の会社は、やはり廃棄ラインが専用化されていなく、排出ベルコンにも付着物がある。
これが混ざっては困るのだが、先方はやはり「絞り粕だから」「エサ原料だから」と捉えるためか、頓着が無い。いつもの事だが「飼料も食品として考えてください」と前置きして、ラインを掃除してから専用容器に入れていただきたい、とお願いしたが、さてどうなるか。

午後の会社は、既にお付き合いがある。
TV放映されたこともあり、今後とも安定供給をよろしくお願いした。
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上はミキサーにSKB茶殻の投入、下はTMR飼料を食べる牛さんだ。
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ここ最近、ビール会社からビール粕が出てこない。
酪農現場でのビール粕利用が、大きく様変わりしつつある。

牛のエサとしては長い伝統があるビール粕だ。明治30年代には、札幌麦酒のビール粕を共同購入して振り分ける酪農家の組合組織が札幌で稼動していた。まだ農協も無かった時代、ビール粕で連携した酪農家達は、飼養管理を学び、牛乳の販売を行ったのだ。

ビール粕が出ないのは、普通ビールの仕込が激減し、発泡酒と第三のビールが増加しているのが原因だ。発泡酒の粕は、麦の割合が少ないので、ねっとりべたべたしていて別物。第三のビールに至っては粕が出ないのだと言う。

ドイツでは厳格に原料が定められていると聞くビールだが、この軽薄短小(死語か)の日本では、まず価格が最優先だ。ビールの伝統をぶち壊し、まがい物飲料を競争して開発、雨あられと宣伝し、理想的に運営されていた副産物利用の伝統も消え去ろうとしている。お客様のニーズ、新製品開発と言えば聞こえは良いが、一体この国はどうしてこうも落ち着きが無いのだろう。

ちなみに発泡酒粕は、製品によってレシピが違うため栄養成分も製品によって異なる。特に粗蛋白質のブレが大きいので、注意が必要だ。ビール粕は、どのメーカーのものでも成分はほぼ同様なのだが。
昨日に続いて、今度は大手飲料メーカーを訪問した。
やはり事情は同じで、いろいろな絞りかすを分別せずに廃棄している。
今のところ分別はできないとの事。
しかし、何とかしなければとの思いは感じることができた。
大手企業は、どこも最近は「環境」を標榜している。
風は吹いているのだ。
迷惑がられぬ程度に、これからも連絡を保ち、働きかけていくことにしたい。
朝から、M県の飲料メーカーを訪問。飲料カスが飼料原料にならぬか、相談した。
各種飲料のカスはすべて廃棄シュートに一括処理で、分別できない。分別しても専用の貯蔵施設に費用がかかる。バラ出荷はできるがフレコン詰めは人手がかかり難しい。残念ながら、毎度のパターンで終始した。
当方は小額ながら有価物として買う、先方は産廃処理費用が浮く、そこの所の計算をして欲しいのだが、目先の出費が気になるのだ。
やはり、先方に「バイオマス活用」の明確な意思がないと、話が進まない。

午後からは、焼酎メーカーで焼酎粕の飼料原料化の話。
焼酎ブームのため、売り上げが伸びており、粕もたくさん出ているのだろう。
粕は積極的に飼料化したいと熱心だった。景気の良い業界は新しい取組みに熱心だ。貧すれば鈍すの裏返し。衣食足りて有機物循環を知る。海洋投棄ができなくなる背景もある。
F県の食品会社を訪ねた。
豆乳粕の「おから」を、乳酸菌を使ってサイレージ飼料にしてもらう協議を進めている。
豆腐粕と同様、豆乳粕も糖質が少なく、乳酸菌だけではなかなか発酵がスタートしない。
そこで、繊維分解酵素を加えてやると、乳酸菌が動き出すわけだ。
乾燥処理よりは、よほどエネルギー効率が良い。
産業廃棄物として堆肥化する前に、まず家畜の飼料化。
これぞカスケード利用なのである。
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