カテゴリ:エサと飼料化( 66 )

輸入乾牧草のニュークロップについて、情報が入りはじめている。
以前にも書いた記憶があるが、バイオエタノール需要のとうもろこし作付面積拡大を受けて、大豆や麦の畑が圧迫され、これまで牧草を栽培していた畑が大豆や麦の畑に置き換わりつつあるようだ。
これまで牧草を栽培していた畑は、面積を減らし、かつ環境の悪い畑が残ることで収穫量減に拍車をかけている。

加工牧草たるカナダのデハイやUSヘイキューブは2~3割の減。牧草そのものの、US産ルーサン、スーダン、バミューダ、そしてライストローも2割以上の減と伝えられている。
USオーツに至っては激減の様相、一方南半球の豪州はと言えば、小麦にシフトしたことで、やはりオーツヘイが2割減、逆に小麦ストローは増加する見込みだ。

そして、アメリカ国内の牧草需要は落ち込んでいない。
生産資材の高騰があるものの、アメリカはこれらが生産物(牛乳、卵・肉などの畜産物)価格に転嫁できる市場(本来、当たり前であるが!)なので、これら飼料の需要は旺盛なのだ。
要するに、輸出物量が減るだけである。

この輸出量減に加えて、困ったことにコンテナフレートがとんでもない上昇を見せている。
40フィーター1本で、今後100ドル、200ドル、300ドルと値上げが確定しているのだ。
アメリカに集まっていたコンテナ貨物状況が激変していると、商社マンは言う。
サブプライムローン問題が表面化したアメリカは、確実に輸入需要を減らしている。アメリカに荷物が集まらなくなっている。従って出てくるコンテナの数にも限りがある。コンテナの奪い合いとなれば、安価な飼料は太刀打ちできない。そしてここでも投機筋の介入により、コンテナ価格を吊り上げている。

しかも、諸外国の買い付けが入って、我が国は買い負けているフシがある。中国、韓国、そして中東の石油産出国がライバルなのだ。

実はここ数年、高騰が続く配合飼料より、輸入乾牧草の値上がりは凄まじい。
自給飼料基盤の弱い関東以西の酪農家は、果たして今後も営農が可能なのか。
我が国も、乳価格は生産者手取りで3円上がった。しかし、これでは資材価格が生産物に転嫁されているとは、とても言いがたい水準だ。

国内酪農家の大量離農、牛乳の供給不足、加工原料乳の不足が目に見えるようだ。
加工的畜産が是正され、本来あるべき飼料自給に見合った生産の形である」と言うのは容易いが、酪農家のみならず関連業界に吹き抜ける嵐は、思うに恐ろしいものがある。
昼前の来客は、食品副産物の飼料化に取り組みたい産業廃棄物業者さん。最近、このような問い合わせが増えている。エコフィードの推進は良いが、そもそも供給量に乏しい底の浅い原料だけに、皆が使い出せば奪い合いにもなりかねない。エサ屋としては、いかに見識の高い排出元や中間業者と安定的に連携できるかである。

このように意欲的な産廃業者さんは、比較的よく勉強してくれて、きちんとA飼料として管理供給してくれることが多い。そして実は、排出元となる食品会社との関係構築が難しい場合が多い。
食品会社のトップは、或いは本社のご担当は「企業の環境貢献のために是非取り組みましょう」などと言ってくれるのだが、しかし実際に工場に出向けば、現場のご担当の反応は「こんな面倒な作業を提案してくれて、」「産廃業者に一括処分でよいのに、」と言った具合である。我々は安価なりとも有価物として買うのであるから、産廃処理費用を支払っていた昔に比べればマイナスが埋まりプラスも僅かながら発生してメリットありのはずなのだが、現場は面倒なのだな。まあ彼等の立場から見れば「工場の排出ラインが、副産物利用型に出来ていない」と言うことになるのだ。多くの施設が、廃棄物を全て排出ホッパーに溜め込んで、産廃のアームロール車にドサリと落とすだけの仕組みなのだ。

「原料がカビていてはダメです」と申し上げたら、それまでの商談が中断したまま連絡が来なくなった会社がある。実際に変敗した原料を持ち込んでおいて、当方が廃棄せざるを得なくなった製品の補償を求めると「今後のお付き合いは、」と当社ではなく中間業者に圧力をかけてくる会社がある。
食品会社なのに、どうしてこんなことが判らないのだろうか。コンプライアンスを疑わざるを得ない。お里が知れると言うものだ。これは差別用語ではなかろうな。

最近あった事例では、双方が協力し合って順調に副産物を飼料化できていたのに、相手の本社がSCMによる物流改革を始めた途端に、工場では副産物の発生が予定できなくなり、飼料化が頓挫してしまったことがあった。廃棄物の再利用も含めたSCMは、確かに難しいのだろうけれど、是非とも排出物のサプライチェーンもマネジメントして欲しいものだ。

午後からは、都内で共同研究相手と遅れに遅れていた新規原料の相談があり、昼飯を食う暇もなく電車に飛び乗る。
5時には事務所に戻って残務整理、6時半の家族の食事会待合せには、辛くも間に合った。
中国から輸入されている飼料原料は多い。
中国産の大豆油粕ミール、中国産のビートパルプペレット、中国産の林檎粕ペレット、中国産のホミニーフィード、中国産のコーングルテンフィード、中国産の乾燥ビール粕、などなど。
最近、中国の港によっては輸出規制が厳しくなリ過ぎて、船積みがまったく見通せない事態が生じている。
例の事件の後で、今度あのような事故を起こしたら処罰の対象だと、現地の港湾検査係官は厳しく言われているそうだ。お陰で、飼料原料の荷姿が変わっただけで輸出停止になり、日本の輸入商社は頭を抱えている。

あちらこちらで、そんな悲鳴が聞こえだしている。
大変な時代になったものだ。
輸入した乾牧草を我々エサ屋から購入して、牛に与えるお客様は多い。
北海道ですら、15年前あたりから順調にユーザーは増えていた。特にメガファームと呼ばれる規模のお客様は、自給飼料基盤と言われる北海道にあっても、今や必須の購入飼料だ。
いわんや関東以西のお客様は、完全に購入飼料だけという方もいる。格好よく言えば、自給飼料生産を海外にアウトソーシングしていたわけだ。

昔、乳脂肪率の基準が引き上げになったときなどは、エサ屋が輸入牧草を持ってきてくれるから、3.5%がキープできる」などと有難がられたこともあった。しかし、今やエサ屋に電話すればお望みの品質の乾牧草がコンテナで届く便利な時代、皆これに慣れてしまった。
ここに来て、乾牧草も大幅に値上がりしている。配合飼料の高騰が言われるが、実はその前から乾牧草の値上がりが進行していた。
輸入総量は変わっていないらしい。これは依存度の高さを物語っているのだろう。しかし質的変化はある。プレミアム乾牧草をやめて、安いもの、ストロー類の需要が増えているのだ。

その海外の作付け状況だが、やはりバイオエタノール需要に押されて、或いは玉突き現象で、とうもろこし増産⇒大豆や麦などの穀物作付けの圧力⇒粗飼料作付けの減少といった図式が顕著になってきた。
要するに、北米ではアルファルファやスーダンなどの作付面積が大きく減っている。
豪州でも旱魃の影響で、オーツヘイが小麦にシフトしているという。
シュガービートの絞り粕であるビートパルプも、そもそも作付けが減少し、そしてアメリカやメキシコの好調な酪農業からの引き合いが増加して、日本への輸入量が激減しそうだ。

アルファルファを機械乾燥してペレット化した、業界用語のデハイペレットは、ぐんぐん値を上げている。ヘイキューブより、いやむしろアルファルファヘイ(乾牧草)が安い場面もあるだろう。
綿実も高値安定で、油脂源としては脂肪酸カルシウムなどのほうが有利だろう。
もう、これら粗飼料原料を安定して使える時代は終わったのかもしれない。

ついでに言えば、リンカルも値上げである。
今、異常なスピードで進む円高は、我々インポーターにとっては福音ではある。
しかし、株安と、その後に来るだろう景気の減速とインフレを考えれば、喜んではいられまいね。
過去30年の統計で最低の在庫水準となった世界の大麦在庫。
ちなみに、この2月の米農務省需給発表によれば、2007/08年産の世界の大麦生産量は、132,827千トン(前年比97%)、期末在庫15,337千トン、在庫率11.1%と予想されている。

こうした状況の下で、ウクライナ・ロシア・中国は主要穀物への輸出関税を賦課、また米国も端境期に入り輸出余力が殆どない状況となっており、我が国を含めアジア向けの輸出余力がある国は、カナダ・豪州に限られるため、引き続き厳しい需給環境が続いている。

大麦の国際市況は、こうした世界需給を反映し昨年8月から高騰している。
年明け以降も依然高値が続いており、本年2月13日に実施された平成20年度第1回飼料用大麦の特別売買契約(SBS)の入札では、平均売渡価格が52,993円/トンと、前回よりトンあたり200円ほど値下がりしたものの、依然トン当たり53,000円前後の高騰を維持している。

今後、世界最大の大麦輸入国であるサウジアラビア(年間輸入量約6百万トン)の追加買付などが予想され、場合によっては更なる高騰も懸念される。
この市況は、EU・ウクライナ・米国の新穀が見え始める6~7月くらいまでは堅調に推移するものと予想される。

大麦は、肉牛用の飼料原料としては必須の存在だった。
しかし、全体的な飼料高の中ではあるが、大麦がここまで突出して値上がりしては、もはやどうしようもないだろう。とても飼料として使える価格ではない。
飼料用穀物は、今や高値安定の「とうもろこし」しか無くなってしまった感がある。

私が飼料会社に入社したころは、穀物は「とうもろこし」(しかもUS、タイ、アルゼンチン、その後はチャイナ・メイズ)「マイロ」「大麦」「小麦」「えん麦」「ライ麦」「キャッサバ」「大豆」「ルーピン」そして「古古米」などなど、いろいろ選べて飼料設計できたものだ。

このUSメイズ一辺倒の危険さ、バイオエタノール需要で非常に高騰且つ不安定ながら、代替原料が無い危うさ。一体、我が国の配合飼料は、どうなってしまうのだろう。
牛の飼料に使われる稲藁(イナワラ)には、ヒ素が多く含まれていることがある。
輸入物ばかりではなく、国産イナワラにも多く検出される例がある。
日本は火山灰土壌で、もともと土中にヒ素の含有量が多く、しかも稲はその栽培方法からもヒ素を吸収しやすく、これが茎葉に残るのだ。

農水省の定めた指導基準では、配合飼料や乾牧草のヒ素含量は2.0ppm以下である。
しかし、これを越える分析例も多いため、このあたりを良く知る企業はイナワラの取り扱いを手控えてきた。

しかし、貴重な国産自給飼料である。これまでも歴史のある飼料源である。
まあ結局は基準緩和であるのだが、今後はイナワラのヒ素含量についてはALARAという概念を導入して評価していこうと言うことで作業が進むそうである。

As Low As Reasonably Achievableの略で、合理的に達成可能な限り低く、と言う意味。現実容認との批判も出そうだが、過ぎたるを改めるのは勇気のいることで、私は正しい選択だと感じている。

5日は出張帰りのドタバタで、翌日の会議準備もあり、あっという間に夜11時まで仕事。
6日はJVの会議とその後の忘年会。飲みすぎた。
7日は来客と打合せの合間に片付け仕事。土日に仕事をこなせば、何とか日曜午後からの出張には支障がなさそうである。
昨日はいったん戻ったが、今日もまた社内の研究員とエポカルつくばに向かう。
今日は午後から、当方も関わっている「飼料イネ」の研究発表があるのだ。
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中央農研の先生方の発表は、恐らく事前に示し合わせていたらしく、一般消費者を意識した極めて簡潔で判り易い発表に統一されていた。むしろ、その後の各県試験場の発表が、こなれておらず専門用語連発だったのが残念。ただ、一般消費者が何人いたかは疑問だった。

アトラクションでは、埼玉の現役酪農家「みるく082(おやじ)」さんのミニステージ。
途中から、可愛いバックダンサーズも加わり、なかなか充実していた。私もクイズに答えて、非売品のCDをゲットした。
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その後は、飼料イネを食べさせた牛乳と牛肉の試食をしながら、ホールの片隅ではミニコンサート。地元のアカペラ・クループが歌い始めたが、何と途中から主催者側の先生方もギターを抱えて一緒に歌いはじめる。アットホームな雰囲気で、さあ研究発表は折り返してパネルディスカッションに入る。実践者の方々の発言は貴重だ。心して聞いていた。

飼料イネに関する事柄は、①輸入乾牧草との競合に負けない価格の実現とデリバリ環境の構築、②水田環境の保全の意義、③耕畜連携による堆肥還元の意義、として捉えた。
反当り収量の多い飼料イネならではの、機械と人の消耗が心配されたが、コンバインの改良はまだまだ進むようであり、来年にはかなりの進展が期待できそうだ。
つくばエポカルで、エコフィード・シンポジウム。
食品副産物を利用した発酵TMRは、当方のお家芸であるからして、あまり得るものはない。
民間がとうの昔から取り組んでいても、国の試験場の先生方が認知しなければ技術ではないらしい。発酵TMRは最近の技術」とは、片腹痛い。
サイレージ用乳酸菌も、戻し堆肥技術も、複合生菌剤も、みな然りである。

どうしても豚用リキッドフィーディングが前面に出るのは、仕方が無いか。
澱粉粕の尿素処理サイレージの話題は面白かった。会場からの質問「何故、ホル肉牛・乳牛への試験ではないのか」に対して、発表者側の「贅沢に聞こえるが、当方には黒毛しかいない」との答えは、極めて正直だが、考えさせられた。まさに北海道の乳牛のための技術であるべきだからだ。

日獣の木村先生のDDGSの話題、一般向けの総括的な話題は、我々のようなプロには食い足りないが、それでも二三得るものがあった。流石は第一人者の理解は広範である。

日大の佐伯先生の発表で、リキッド飼料の乾物補正の式が示されていた。乾物に、乳酸とVFAとアルコールを加える考えは納得できた。
このところ、とうもろこしが安定していると思っていたら、麦類がとんでもなく高騰している。
ウクライナの旱魃に端を発して、小麦が垂直上昇とも言うべき値上がりで、今後オーストラリアの減産が表面化すれば、手に負えないレベルまで進むだろう。
小麦、ライ麦、大麦、燕麦、特に肉牛用の飼料においては麦類の飼料価値を求める設計が多いのだが、ここまで高値になってはどうしようもない。
配合飼料原料としての大麦は、既に年内には、とうもろこしよりトン当たり5千円高いレベルまで、その後は四半期毎に更に5千円、5千円と値上がりが必死だ。

配合飼料の原料たる穀類は、もう我が国では高値安定のとうもろこししかないのか?
これは、もはや畜産物の市場価格を上げてもらうしか、道はないだろう。

来年1月のカップヌードルの値上げが報道されている。理由は、やはり小麦の値上がりである。
消費者に、穀物原料の値上がりや畜産物の価格上昇を訴えるとき、このネタが一番説得力があるという話がある。情けないが事実であるのだろう。
昨日の記事に「牛に願いを」さんからコメントをいただいたので、長くなるのでここで述べます。

発酵TMRの定義は難しいが、かつて高野先生が提唱されていたオールインサイレージのイメージでしょうか。
TMRは、乳牛の「産乳生理」と「消化生理」から見て最適に設計した飼料であり、粗飼料と濃厚飼料をバランスよく食べさせることができ、栄養成分も安定していて、しかも常にエサ場に置いて(不断給餌)飽食させるのが基本になる、と私は考えています。
フリーストールが前提ですが、つなぎ飼いの場合でも制限給餌で対応できましょう。
泌乳期ごとに適切な給与管理をすることが大切で、一群管理で一種類のTMRなど有り得ないと、私は考えています。

さて、発酵TMRとなれば、このTMR飼料をサイレージ発酵させたものとなるでしょう。
発酵させるメリットは、
適度の発酵により嗜好性が良くなり、また消化性も良いのでDMI(乾物摂取量)が上がる。
二次発酵しにくいので、夏場でもTMR飼料の不断給餌(飽食)の品質が安定する。
乳酸発酵とアルコール発酵、その代謝産物による「プロバイオテック効果」が期待できる。
などであり、エサ屋の立場から言えば、納品がある程度まとめてできることもあるでしょう。

また、昨今の穀物高騰を考えれば、主に都市部においては各種の食品副産物を有効利用できるので、飼料の低コスト化が可能になる!といったメリットもあるでしょう。

しかし、これは設計の問題ですが、発酵させなくとも良い原料(例えば配合飼料、ビートパルプ、ヘイキューブ、乾牧草など)まで完配にする必要はないと、私は考えています。
完配は便利ですが、製造コストがかかるだけ高くつきがちです。
サイレージ化しなければ「すぐ変敗する」「嗜好性が悪い」原料を、サイレージ化することで飼料に有効利用する、と捉えるべきでしょう。

その他の、嗜好性に問題なく、保存性の良い飼料原料は、サイレージ化する必要はなく、サイレージに別途にミキサーで混合する、或いは、酪農家さん集団でTMR基地を作り、そこで食品副産物由来の安価なサイレージ飼料をベースに、オーダーメイドTMRを作る、などの考え方が、一番優れていると考えています。

ご紹介できるお客様がいないわけではありませんが、ここはソーユー場所でもないですし、発酵TMRに何を求めるかを、整理する必要があると思います。
私の所属するYS社のホームページに「TMR飼料」についてのお問い合わせをいただければ、お答えを差し上げることができます。