カテゴリ:エサと飼料化( 66 )

トップのお供で東京ビッグサイト、食品開発展に行ってきた。海に向けての風が物凄い。
関係する会社のブースを回って挨拶しまくり、その後は面白そうなところを冷やかしてきた。
所謂「機能性食品」と呼ばれる原材料が多々あって、いろいろ説明を聞けて楽しい。
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夕方に事務所に戻り、親睦会の幹事会。慰安旅行(と云っても日帰りだが)が来週に迫っており、その打ち合わせと、前回の親睦の夕べの反省会であった。

そのまま続いて、拡大幹事親睦会に突入。幹事ではない社員も数人来て、前回飲み残した大量の日本酒を、証拠隠滅するために皆でせっせと消費する。
今日も酔っぱらって帰宅。サラリーマンは~♫、気楽な稼業ときたもンだっ!
お付き合いのある団体から声をかけていただいたので、ノコノコと農水省まで行ってきた。
畜産振興課のご担当から、放射性セシウムによる農畜産物の汚染について、経緯と現状の話を聞いた。7月に、所謂「春ワラ:年を越して春まで田んぼに放置されていた稲ワラを回収したもの」による牛肉の放射性セシウム汚染が発覚して世の中を騒がせたが、流石に農水省は状況を的確に把握していると感じた。

放射性セシウムに汚染されていたと思われる稲ワラを給与した肉牛農家は、9/7時点で全国で326戸、出荷頭数は4,796頭であり、検査対象となった1,382頭のうち500Bqの基準値を超えたものは83頭、極々僅かである。

また、今年度産の飼料作物(動物のエサになる作物)の検査結果も集積されつつあり、デントコーン・ソルガムから飼料稲WCSまで周辺都県の分析では、不検出が140件、検出が26件だがこれは40~50Bqの水準であり、300Bqの暫定基準値を超えたものはない。

人間向けの米についても検査結果が蓄積されつつあり、これは農水省のホームページで見る事が出来るのだが、大半が「検出せず」であり、僅かな検出例も100Bq以下、暫定基準の500Bqを越えたものは今のところない。どうやら今年度の飼料用米や飼料稲WCSの放射性セシウムについては、心配する必要はなさそうである。人間用の米も、である。

生協の品質管理のご担当から、独自の分析によれば稲の放射性セシウムの分布は「茎葉つまり稲ワラが9割、モミ米に1割で、モミ米のうち半分はモミガラに、残りの半分の大半は米糠で、白米ではほとんど検出されない」との話が出ていた。なるほどそんなところかと聞いた。

そもそも基準値の妥当性を問う議論はある、基準値以下であっても少しでも数値は低い方が良いのは言うまでもない。検出されてはならないとの主張も判らなくはない。
しかし、もはや3.11以前に戻る事は出来ない。東北・関東に住むものは、この土地を捨てる以外には多かれ少なかれ放射能汚染と付き合っていくしかない。そのためには科学的な、客観的な情報が必要であり、これを反芻して理解する大人の度量が求められると言う事だろう。

事故を起こした原発と、これを安全と言いくるめてきた御用学者の罪は言うまでもないが、、、
8日に聴講してきたシンポジウム。今日の移動時間にまとめ終えたのでUPしておこう。

東京ビッグサイト2010国際食品工業展FOOMA JAPANに併催の、農業機械学会シンポジウム、フーテックフォーラムを聴講した。テーマは「食料の自給率向上に寄与する最先端技術」
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講演1 筑波大学の名誉教授による、食料自給率の向上とフードテクノロジーの展開方向
作り込んできたパワーポイント資料のファイルが壊れてしまったとかで、口頭講演となり、話が散らかって時間が足りなくなるアクシデントがあったが、非常に広範にタームが散りばめられ万華鏡を見るかのような講演は、聴いていて楽しかった。
政策誘導による食の産業の形成発展の必要性、今回の口蹄疫にも明らかな分権的な危機管理システムの重要性、穀物の先物取引に実需者以外が相場形成に関わる違和感、EUの農業所得保障と直接支払いの変遷、LCAとセットの製品作りのメルクマールとして制御された農業のビジネスモデルが必要、市場経済で出来るものと出来ないものがある、空間と時間に応じた農業の示唆など、理系の技術論ではない農業経済学からの切り口も面白いものだ。

講演2 新潟大学の教授による、米粉加工技術で美味しい食事
北海道の「おぼろづき」、九州の「にこまる」の新品種の登場など、コシヒカリとその子孫ばかりではない有望品種が続々と登場している。カレーライス向け米として、ジャポニカとインディカの混血の華麗米というものあるのだな。

一方で、分析機器の進歩があり多面的な食味評価が迅速にできるようになっている。おにぎりからも、日本酒からも、原材料の米のDNA分析が可能な時代なのだ。
米の粉末化のみならず、米を糊化組成物として各種素材を練り込んで麺・パンを製造する技術や、発芽玄米の発芽促進と微生物による変質防止に赤玉葱を使うなどが面白い。
米の加工による用途拡大で、我が国の食料自給率向上に寄与したいと結んだ。

講演3 中央酪農会議の理事による、国産酪農製品の自給率をめぐる課題と取り組みの現状
本来、国内生産と消費がニアである酪農製品、世界的に見て生産量に占める貿易量の割合は、バターで20%、チーズで10%、脱脂粉乳で5%、共に非常に薄い市場であると言える。我が国での酪農製品市場は急速に拡大しているが、反面で自給率を落とし現在は70%を下回っている。チーズの消費拡大や飲用乳の消費減退などの市場構造の変化が、その背景にある。

不足払い制度の成立から乳製品市場の多様化・低コスト化に伴う制度の変遷、生産調整型から販売調整型需給調整対策への転換の現状を切れ味よくまとめた。

講演4 中央農研の先生による、国産大豆生産量向上のための機械作業技術からの取り組み
世界の大豆の生産量は2億1千万トン、米国次いでブラジルでその65%を占め、我が国の生産量は23万トンで0.1%に過ぎない。一方で我が国の大豆消費量は403万トンで、実に92%を輸入に依存しているのだそうだ。しかも畑面積当たりの収穫量も、米国・ブラジルでは260kg/10aを超えているのに、我が国では多くて190kgだという。我が国の大豆は食品加工用、海外は主に搾油用の品種であることも背景としてあるが、この低収量をどうにかしたい。

我が国での大豆栽培の低収要因は湿害と、これによる発芽不良なのだそうで、これを作業機の改善で取り組んだ。大豆の高畝立て栽培なのだが、耕運の刃が進行方向に対して下から土を切り上げるアップカットロータリー機構を採用した耕運同時畝立て播種機を開発したのである。下から切り上げるので破土性能が高く、しかも畝の構造として下に荒い土粒が、上に細かな土粒が位置するので、畝の排水性能が良く種子の水分条件を整えることで収量がアップするのだそうな。地道な研究と確かな成果に好感。

講演5 千葉大学の教授による植物工場における最先端栽培技術の紹介
植物工場は、施設園芸から派生して近年その数を増し、また技術的にも進化している。新鮮で安全安心な野菜の需要は増加しているが、国産であることのニーズも高い。

植物工場の種類としては、断熱壁に囲まれた空調管理、溶液栽培と人工光、栽培管理の自動化を行うのが「完全人工光型」、所謂温室で太陽光を取り入れるが空調管理と溶液栽培を行う「太陽光型」、これに人工照明を付加した「人工光併用型」に分けられるのだそうだ。

演者は、人工光は「お天道様の代わりになる」と言い切る。むしろ、電磁波の波長を変えて目的通りの成長を確保したり、例えば青色光や紫外線領域を照射して植物に機能性成分を産生させることもできると言う。
無農薬で安定した高品質、安心安全に機能性成分が加われば、なるほど植物工場には未来が開けているのかもしれない。

私の好みからすれば、根は土に張っていて欲しい。人工光はお天道様の代わりになるかもしれないが、溶液栽培は根圏微生物の代わりになるのだろうか。意地悪な質問をしてみたかった。この先生の講演は聴講者も多く、関心の高さをうかがわせた。

もう一題の講演があったのだが、会社の仕事に呼ばれていて止むなく途中退場した。
主催:日本草地畜産種子協会、協力:超多収米普及連絡会、後援:農林水産省。
会場は、江東区文化センター。
11時から、飼料用米で育てた卵、豚肉、牛乳などの試食コーナーが用意され、昼を挟んで13時からシンポジウムが開催された。
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主催者挨拶の後、山田農林水産副大臣が10分程、飼料用米への期待を真摯に語った。
続いて、日本農業大学の信岡先生による基調講演「飼料用米を活かす日本型循環畜産が農業を再生させる」45分。
飼料用米の概説と最新情報、超多収とコスト削減のポイントを具体的に述べた。
この方は、特に飼料用米による畜産物の差別化を強く標榜しない立場だが、よく言われる従来飼料(とうもろこし主体)との比較におけるオレイン酸の増加・リノール酸の低下に加えて、ビタミンEの効果、呈味アミノ酸の増加や、ω3系列脂肪酸の増加によるω6/ω3比の改善などは興味を惹かれた。
講演内容は、現場の皮膚感覚を反映して非常にリアル。行動主義でしかも広範且つ遠大なビジョンを持つ得難い研究者と言うべきである。

その後は取り組み事例の四題。鶏卵の関係が多かった。
ご同業では、昭和産業レイヤーチームの発表が身につまされて面白かった。コープネット事業連合に協力する形で、飼料用米を10%配合した飼料を製造、供給し、差別化商品「こめたまご」を納品している。販売コンセプトは飼料自給率の向上であるという。
少ロットで点在して発生する飼料用米を集貨する努力は大変なものだ。

締めくくりはパネルディスカッション 45分。
これまでの講演者に加えて、農水省の担当課長氏、養鶏生産者協会飼料用米委員でトキワ養鶏の石澤氏、全国消費者団体連絡会事務局長の阿南氏が加わり、主催者の信国会長以下総勢9名のパネラーで、「飼料用米の生産」「流通と使い方」「消費者との連携」の3つのテーマに沿って進行した。

生産面では、減反政策があまりにも長く続いたため、美味しいコメを少量作る技術に稲作農家も指導機関も特化しており意識改革が難しいとの話が出た。飼料用米は新たな飼料作物であるとの認識が必要で、コスト低減のための機械化部隊(コントラ等)をどう作るかの検討が必要であるとした。

流通面では、稲作農家と畜産農家の連携、お互いが目に見える関係を鶏卵生産者が説くのに対して、配合飼料メーカーはある程度の集貨を任せられる機能(業者)を求めるとの発言があり、利用者の立地と規模に応じた流通経路の整理と整備が必要であろうと感じた。

消費者に向けては、差別化にも限度があり、例え飼料用米を食べさせても畜産物を高くは売れない、との意見は正論だろう。正しい飼養管理を経て生産された畜産物であることのアピール、輸入の「とうもろこし」ではなく国産の堆肥を入れた安全安心な飼料用米を給与した畜産物であることを、きちんと消費者に知らせて理解を得る努力が必要である。消費者も日本農業のパートナーであるとの主張が新鮮だった。

反当り8万円の補助金で生産側は活気づいているが、これが何年続くのか。突然の打ち切り、減額はないのか。過去に比べて格段に増えた飼料用米は、果たして畜産側に流れるのか。
また、その畜産物は消費者に歓迎されるものなのか。現在は「需給が大きく流動化している」事を踏まえ、これらをどう安定させるかを、出席者の努力としたいとして閉会した。
この日の天職は技術系仕入職。
豆腐のエコフィード化を模索する企業さんと打ち合わせに、車を走らせた。
豆腐粕(おから)の飼料化方法は、乾燥とサイレージ化の二つがある。前者は水分を10%以下に落とせば保存性もあるしハンドリングも良くなるから、配合飼料工場などで原料として購入してもらえる。但し、石油を炊くわけなのでエネルギーコストがかかり、売価でこれを回収できるかが難しい。残念ながら多くは逆ザヤで販売せざるを得ない。
後者は、我が社の得意な乳酸菌を添加したサイレージ(乳酸発酵させた言わば漬物)にする方法で、かかるのは包装資材代と乳酸菌代くらいのもの。但し、まだおからが熱いうちに処理してすぐさま密封しなければならないし、製品は重く嵩張るので広域流通には向かない。これは、TMRセンターで原料とされるほか、酪農家さんが直接購入して牛に給与している。

今日の話は、粕ではなく豆腐そのもの。工場では出荷の調整や包装不良などで、十分食べられる品質の豆腐が沢山廃棄されている。これを飼料化できないか、とのことだ。
当方の試験によれば、豆腐も新鮮なうちに、しかるべく水分調整して、乳酸菌を添加すれば、乳酸が生成してpHが下がり保存性は確保できる。少し酢酸臭がするのが気になるかな。牛さんの嗜好性はどうでしょうね、今度はきちんと実験区を作り成分分析もしてみましょうね、など打ち合わせてきた。粕ではないので、当然栄養価は高いはずである。

f0057955_14115530.jpg春の陽気の中をドライブ、窓を開けて風が車内を吹き抜けるのも気にならない。しばらくぶりに走ったら、北関東道も圏央道も整備が進んでいて、大いに時間短縮できた。

帰路立ち寄った道の駅、二宮尊徳ゆかりの地だそうで、昔懐かしの銅像があった。

ちょうど季節のご当地イチゴ「とちおとめ」が、小粒のものが安く売られていたので1,000円で4パック購入。大粒のものは高いけれど、我が家で食べるのなら、これで十分だ。
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「とちおとめジェラート」の実演販売。
400円の食券を買って渡すと、おねーさんが冷凍ケースの中の陶器のうえで、苺のスライスを潰してジェラートと混ぜ混ぜしてくれる趣向であった。
少し高いけど、美味しかったね。

我が家に戻り、苺を洗ってテーブルに山盛りにして置き、家族でパクパク。
次の日の昼には、全て食べてしまった。残ればジャムにしようと思う間もなかったことである。
検討中の新規原料、果たしてその飼料価値は如何ほどであるのか。
まず飼料分析を実施することになる。古典的には、水分・粗蛋白質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・NFEを分析するのだが、蛋白質にも溶解性蛋白・分解性蛋白・非分解性蛋白・そして結合蛋白の分画が必要な場合がある。繊維にもADF・NDF・Oa・Ob・OCWなどいろいろな評価方法がある。そうそうミネラル分も忘れてはいけない。最近の飼料設計は、これでもかと成分項目が細分化されていて、これらの数値が用意されていなければどうにもならなくなっている。

成分検査とは別に、最近重要視されるのが安全性の分析である。
飼料安全法では、カビ毒3種類(アフラ・ゼアラレノン・DON)、重金属(水銀・ヒ素・鉛・カドミ)、残留農薬(例えば60品目)がある。

これらに加えて飼料がサイレージであれば、pH、有機酸組成(乳酸・酪酸・酢酸など)が必要となる場合があり、微生物汚染が疑われる場合は、一般細菌・大腸菌群・酵母・カビの検査もしなければならない。

f0057955_2181349.jpgさて、これらの項目評価が何とかなっても、その飼料が粗飼料効果を持っている場合は、ルーメンへの物理的刺激の程度を把握しておく必要がある。

これは実際に牛に食べさせて、噛み戻し(反芻)する様子を数値化しなければならない。

この作業は実に大変である。じっと牛を24時間、数人で交代で見ている。
今食べている、寝ている、歩いている、水を飲んでいる、あっ噛み戻した、一回、二回、三回、四回、、、、ごっくんと飲み込んだ、を記帳しなければならない。
こうして貴重な飼料原料データが得られて、配合飼料の設計に生かされるわけである。
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パネルディスカッション 「飼料用米利活用の普及拡大に向けて」
東京農業大学の先生を座長に迎えて、講演者をパネラーとしたディスカッション。最新情報の提示と問題点の整理でスタート、これで聴衆も一気に世界が見えた感があった。以下、パネラーの発言を私の拾い書きから、

〇頭の切り替えをどうするか
飼料用米は新しい穀物である。これで育った畜産物も新しい畜産物である。
新しい穀物だから、新しい栽培体系が必要であり、これまでの食用米の栽培技術体系をチャラにすることが求められる。
・堆肥を大量に投入する必要があり専用機械が必要である。
・大面積の傾斜化水田が効率上欠かせない。
・深水栽培が必要で、秋になれば用水が止まるようでは困る。これらの基盤整備をどうするか、誰が支援するのか。

〇飼料用米の流通では、横流しの問題が常に言われる。
籾の状態で流通させ、保管し、供給・飼料化することで、この問題は解決する。籾保管で品質は問題ない。玄米にするから脂質の変化や乾燥など品質劣化がおきるのである。
横流し防止のためには、玄米の飼料米は補助事業から外せば良い。

〇出口の問題がある。消費者に上手くアピールし、理解してもらうことが肝要である。

〇耕種と畜産のマッチングについての議論
飼料米の集積場所をどうするかの問題がある。新しい物流体系を整備する必要があり、何処がやるべきか」そろそろ交通整理が必要な時期である。
海に面した飼料工場に、河川を使って飼料米を安価に輸送できないか。
うるち米もあれば多収米もあり、品種によって施肥量によってCPなどの成分も様々である。これをどう捉えて飼料にするかの問題もある。
そもそも飼料米は高蛋白でも食べて美味しい。無理に食用と飼料用に分ける必要があるのか。新米で余った古米を飼料米とするのはどうか。

〇飼料米畜産物を一般店頭でどう売るかの議論
平田牧場のようなブランド化は成功例だが、全てブランド化で付加価値をつけるのは無理。
普通の卵、肉として売ることを追求すべき。

〇ワラの利活用をどうするか、質問に答えて
80千円の助成に加えて、国産稲わらの利用促進に13千円が用意されている。
ワラは比重が軽く空気を運ぶと輸送費がかかる。田んぼで圧縮成型して、これを飼料とするもよし、また(第二世代の)バイオエタノール原料として利用できる。東京農業大学には、バイオエタノールの固体発酵技術があり、これを使えば取扱いの厄介な廃液ではない残渣が得られ、これは飼料化できよう。
畜産物展示に続いて、13:30からシンポジウムが開催された。テーマは「飼料用米による地域農業振興の可能性」関東農政局長の挨拶のあと、講演に移った。

〇基調講演「飼料用米の利活用と日本農業」 生活クラブ生協連合会
庄内地方との連携の歴史から、平田牧場との提携、飼料用米の現状と今後を、生活クラブの理念を紹介しながら述べる。課題としては、10a当たり収量1トンの達成、家畜糞尿の利活用、イナワラの利活用、不正流通防止、輪作体系の確立であるとした。

〇「飼料用米をめぐる情勢」 農林水産省畜産振興課 草地整備対策室
飼料の自給率向上、国産飼料拡大の諸施策、最近の飼料用米の大きな伸びと現場の声を紹介した。飼料用米を推進するための22年度予算概算要求は、水田利活用自給力向上事業として2,167億円、新規需要米には「10a当たり8万円」の助成単価となる。これには、飼料用米、WCS用稲のみならず、米粉向けやバイオエタノール向けも適用となる。

〇事例報告1 「常盤村養鶏農業協同組合の取組み」 常盤村養鶏農業協同組合
-鶏への飼料用米の給与事例- 一貫生産の「トキワの玄米玉子」、また米糠から作った発酵飼料で育てた豚肉を生産、その食肉加工場を持ち、鶏糞・豚糞を水田やりんご果樹に還元、BMW技術を活用した水処理と活性水、りんごの枝は豚肉の燻製にと、循環型農業を幅広く展開している。堆肥を投入した田んぼで専用品種の多収生産に自信、スズメは食用米より飼料用米を選ぶし、実際に飼料用米は人間が食べても旨い。飼料用米を給与した鶏舎はアンモニアの臭気が少なく、鶏にも人にも良い。という。最後は地元の岩木川水系や日本海の環境と循環に触れる、実践者の面目躍如たる講演。

事例報告2 「株式会社フリーデンの取組み」 岩手県一関市
-耕畜連携による飼料米生産システムの構築- 中山間地の農村集落の高齢化と人口減少に対して、大東町で飼料米プロジェクトを発足させる。着々と飼料米生産量を増やし、豚肉は「やまと豚米(マイ)らぶ」と名付けて阪急オアシスで販売まで漕ぎ着けた。一般品より一割高の価格だが、好評であるという。種豚の遺伝子管理の徹底や、堆肥発酵のアンモニアを希硫酸に吸収させ硫安肥料とするシステム開発など、堅実且つ独創的な取組みが目立つ。

事例報告3 「コープネット事業連合の取組み」 生活協同組合連合会コープネット事業連合
-「お米そだちのみのりぶた」消費者への普及事例- 350万の組合員、事業高5000億円の規模を誇る巨大組織の取組み事例。耕畜連携を推進する立場から飼料米による産直豚肉を推進、自給率向上への貢献、休耕田の有効利用による環境保全、日本農業の振興を目指す。生協ならではの、生産者との交流会、組合員の学習会や試食会を各地で展開する。コープネットの産直豚肉の中で、飼料用米豚の割合を2011年度は10%に設定。また価格は通常品より5%高としている。

※パネルディスカッションに続く
主催 農林水産省関東農政局、社団法人日本草地畜産種子協会
日時 平成21年11月4日 12時から
場所 さいたま市文化センター(南浦和)

〇飼料用米を使った畜産物のパネル展示、鶏卵(ゆで卵)と豚肉ソーセージの試食
シンポジウムに先立って、各地で取り組んでいる「飼料用米による畜産物」の紹介パンフやパネルが展示されていた。出展企業のカメラが狙う中での試食は、ご遠慮させていただいた。

まだまだ飼料用米の生産量は少ないし、飼料への配合量(輸入とうもろこしとの置き換え量)も様々だが、全国各地でこれほどの米卵、米豚がブランド化されていることには驚いた。

パネルとパンフは、下記のとおり。(北から)

・常盤村養鶏農業協同組合 青森県南津軽郡藤崎町(事例報告者)
飼料米を58%配合した飼料で育てた鶏卵「トキワの玄米玉子」、米糠から作った発酵飼料で育てた豚肉、鶏糞・豚糞を水田やりんご果樹に還元、BMW活性水、りんごの枝は豚肉の燻製に、の循環型農業を標榜。

・株式会社フリーデン 岩手県一関市(事例報告者)
飼料用米を15-30%配合した飼料で育てた「やまと豚米(マイ)らぶ」

・山辺町水田農業推進協議会 山形県東村山郡山辺町
飼料用米で育てた豚肉「舞米豚(まいまいとん)」

・株式会社平田牧場 山形県酒田市
ご存知、飼料米ブランド化の先駆者。「こめ育ち豚」

・真室川町イネSGS 山形県最上郡真室川町
稲SGS(ソフトグレインサイレージ)は、生もみをそのまま粉砕したものに乳酸菌を添加しビニール袋に入れてサイレージ化したもの。

・田尻地域飼料用米生産者・利用者協議会 宮城県大崎市
飼料用米を7-15%配合した飼料で育てた「たじりのおこめ豚」

・JAひたち野飼料用米研究会 茨城県石岡市
ひたち野農協と小幡養鶏場で推進する「えさ米卵」 

・岐阜県飼料用米利用促進協議会 岐阜県各務原市
大前ファームで飼料用米を7-10%配合した発酵飼料を給与した「おこめのたまご」

・小矢部市飼料用米推進協議会 富山県小矢部市
飼料用米を7%配合した飼料で育てた「とれたて小矢部たまご」

・株式会社地主共和商会 有精美容卵コケコッコー共和国 三重県多気郡多気町
三重県松坂地域産米を使用した卵「おこめ美人」

・飼料米利用推進協議会 島根県雲南市
有限会社木次ファームがJAと取り組む「こめたまご」

・有限会社鈴木養鶏場 大分県速見郡日出町
環境にやさしい卵としてアピール、「豊の米卵」

※シンポジウム報告に続く
③緑茶粕の飼料価値
緑茶粕の飼料分析結果を見てみよう。
飲料メーカーにより差がある。原料もレシピも、製造設備も異なるので、これは当然である。

水分は70~80%、従って、乾物は20~30%となる。
以下、乾物あたりで書けば、大まかに言って、
粗蛋白質は30%弱、意外に高蛋白と思えるが、しかし大半がUIPであり、DIPは数%、うちSIPは2%弱で、これは熱水抽出であるから当たり前。ちなみに結合蛋白は10%弱ある。
粗脂肪は3%、粗繊維は20%、粗灰分は3%だから、NFEは40~45%となる。
NFCは20%、繊維分画を見ればNDFは50%、ADFは30%、消化性の良いOaは15%、リグニンは10%である。

つまり蛋白質の利用性は良いとは言えないが数値は高く、繊維の利用性は「まあまあ」といったところか。組み合わせる他の飼料原料次第では、そこそこ使える原料であるが、特段優れたものでもない。
牛への嗜好性は、これは良くない。沢山混ぜるとエサを食べなくなるのである。

カテキンによる抗酸化作用が、何か機能性がないだろうかと考えるが、乳に移行するようでもなし、ルーメン内の微生物にとっては静菌作用がブレーキになる可能性もある。
茶葉の色素のカロチノイドが、乳脂肪に移行することはあるだろうから、黄色いバターファットになるだろう。黄色味の多い牛乳、乳製品、アイスクリームなどが差別化要素になる場面はあるかもしれない。

総じて、コストが合えば使える原料ですね、との評価に留まると言える。
乱暴に言えば、乾物あたりでヘイキューブ(輸入アルファルファの機械乾燥品)と見合うのかな、使い勝手の悪いところを考えれば、乾物あたり35円でどうだろう。
乾物30%としても酪農家への生バラ届け価格で10.5円。運賃に5円かかれば、品代は5.5円。エサ屋が流通マージンを50銭もらえば原価5円。乾物20%ならば同様に1.5円である。
もし、これを原料にTMR製品を作ったりすれば、製造費に食われてしまい品代は限りなくゼロ円に近づく。
その程度の価値の飼料原料だと言うわけである。
輸入飼料が数ある中で(今のところ)、勇んで使うものでもなさそうである。
勿論、これ以上安く安定的に手に入るのならば、使うべきである。

飼料成分の専門用語については、このサイトを参考にしてください。(続く)