31日は東京ビッグサイトの二日目。3000円払ってバイオマス・フォーラムを受講してきた。久し振りに、バイオマス利用の最前線を勉強しよう。という訳である。

バイオマス・エネルギーを巡る最近の動向
資源エネルギー庁のお役人
現状の概説、導入水準と電源別の課題、予算措置など。

我が国の森林資源と木質バイオマスエネルギー利用の現況と課題
東京大学大学院の教授先生
そろそろ育成期を終えて持続的利用の時代に移行する我が国の人工林資源、機械化と意外にも若齢化が進む林業、増える木質バイオマスボイラー、欧州に学ぶ木質バイオマス利用。現実味を増す木質バイオマスが嬉しい。

液体燃料製造に向けた微細藻類研究の最前線
京都大学大学院の教授先生
バイオ燃料に適した微細藻類、ゲノム編集の登場で遺伝子操作に期待、穀物からエタノールが第一世代なら、農産廃棄物のリグノセルロース利用は第二世代、そして第三世代は新規エネルギー作物と微細藻類に移行だあ。

社会経済発展と気候変動を考慮した2100年までの世界エネルギー作物潜在量評価、地球環境産業技術研究機構の研究員氏
世界のバイオ燃料の貿易量・利用量・要求量、分析のためのシナリオ定義・食料需要と反収予想、土地利用・被服面積、生産の潜在地、潜在量予測などなど。

生ゴミ発電に向けた最新技術の導入 JFEエンジニアリングの方
長岡市にPFIで設立された生ごみバイオガス発電センターの紹介、家庭系と事業系の生ごみを受け入れて、湿式バイオガスシステムで発電する。豊橋市での国内最大複合バイオマスエネルギー化施設の紹介も。

地域密着型バイオマス発電 GE Power & Waterの代表氏
国内木質材料を主体とした混焼炉による小型バイオマス発電、材料搬入面から現実的な4MW未満の規模がお勧め、発電と熱利用のコージェネ、更に排出CO2を温室に導くトリジェネ、しかし栽培作物の差別化等の工夫が必要。

うーむ、亡き神力先生が熱心に我が国に紹介していたのが、このバイオマス混焼炉による発電とコージェネ、トリジェネだった。
ふり返ればもう10年が経とうとしているが、ようやく時機到来なのだろうか。先生のソースはドイツ発だったけど。

すぐに金にならないと取り組めないのが資本主義下の民間企業の悲しさだが、そこにインセンティブな仕組みを用意するのがお役所であるべきなのだ。

何を目指すべきなのかを示す事、お役人は勉強せよ。そして技術者は不純な動機を排して啓蒙せよ。未来は示されているし、行政は競わせる場を用意して公正に選択すべし。
巨大プロジェクトが好きなゼネコンにはご遠慮願いたい。勿論コンセプトがしっかりしていれば良いのだけれど、金嵩が張るプラントを好むエンジニアもどきは多い。

GEの発電機はコンパクトで好感、スータプルな規模を最初に定義するのも高評価だ。頭の良い方の話は気持ち良く聴けたのだ。
環境省の補助金を得て実施された研究成果の発表会に出かけた。
お茶ノ水駅で降りて、周囲は若者ばかり。学生街なのね。日本大学や明治大学の建物が並ぶ中に、あったあった中央大学駿河台記念館。さて、この人は誰でしょう。
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9:30に始まった公開シンポジウム。
基調講演は北海道大学の先生による「廃棄物系バイオマス利活用推進の現状と今後」
国内外の事例も含めて概説するのだが、内容が豊富過ぎで時間が無さ過ぎ。バイオマスエネルギーは発電よりも熱利用が効率が良い、との話だけが頭に残った。

名古屋大学の先生による「草木質系バイオマスの常温脱水脱油技術による石炭・油代替燃料への転換」沸点がマイナス24.8℃のジメチルエーテル(DME)を媒体に、バイオマスから水と油を分離すれば、バイオマスは乾燥燃料になり、油は燃やせる。勿論、加圧環境での抽出となるが、DMEは圧を戻せば常温で気化するので、回収して使える。利用に先立ち乾燥がネックになるバイオマスだが、面白い技術。

明星大学の先生による「変異・融合酵母による稲藁の高度エタノール発酵技術の開発」
強固なリグノセルロースには、亜塩素酸と重曹による前処理。トリコデルマUV変異株による低温での高活性セルラーゼの開発。セレビシエ酵母にカンジタ酵母を融合させ、キシロース発酵の実現。
食料と競合しない次世代セルロース系バイオエタノール、従来から言われる弱点にそれぞれ回答を用意した。ここまで来たのだな。それでも出る残渣は好気性の堆肥化ですか。
ルミナントの飼料にはなりませんかね、と質問したかったが時間がなかった。

東北大学の先生による「食用油製造工程で排出する遊離脂肪酸残渣油を原料とした高品質バイオディーゼル燃料の連続製造技術の開発」
食用油の製造過程で邪魔者として分離され、燃やして熱源として使われる運命の脂肪酸残渣油。これを酸で処理して、アルカリで処理して、バイオディーゼル燃料を作る方法は既知であるが工程が煩雑で現実的でない。これを陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂カラムを通す事で、連続的に燃料化する技術を開発した。陰イオン交換樹脂は劣化するが、これを複数用意して順次切り替え、アルコールと酸で洗えば完全再生するので、これらを自動化した。

それぞれ現行法下での取り扱いに問題があったり、スケールアップした時のコストの見極めなどはこれからであるが、是非インセンティブな運用を国には求めたいものだ。
バイオマスは、効率の良さを言われる藻類燃料だとて所詮は生物の光合成由来、太陽光発電の高効率には敵わない。バイオマスは熱回収もできる液体燃料化を目指したいとの意見があった。まあ、太陽光パネルを作る時には沢山のエネルギーがいるので、バイオマスも捨てたものではないはずですが、、、
午前中は、新製品の広告宣伝の日程調整で、社内外に電話をかけまくる。
カミサンの握り飯を食べたら、午後からは、千葉県が主催するバイオマス利用推進交流会に出席してきた。
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千葉市内の「きぼーる」で開催。ここは立派な駐輪場の設備があるのが助かる。
小一時間ほど、館内の展示を冷やかしてから、13階の会場に向かう。講演会と聞いていたのだが、始まってみれば筑波の先生の講演の後は、小テーブルを囲んだ同士でワークショップだって。

しばし戸惑ったが、集まった方々は官・民・学?のそこそこの知識とレベルの方々だったので、いろいろ話題が弾んで面白かった。何となく真ん中に座っていた私が、出しゃばらぬように議事進行。

まきストーブ、先の震災の塩害で枯れた倒木の処理、木質ペレット燃料、竹の資源化、メタン発酵、シンプルイズベストの燃焼と熱回収、バイオマスはコストパフォーマンスと効率性が求められるべき、非効率なバイオマス故に付きまとう精神性を疑う、否、付加価値を認めればコストに転嫁可能、などなどブレーンストーミングならではの話の流れで、なかなか楽しい時間だった。

特に行政の関わる、失礼ながらバイオマスの現場を踏んでいない方々にとっては、特に有意義であったのではないだろうか。ある程度は知ったかぶりではベテランのつもりの私も、いろいろな立場から発せられる言葉、姿勢、信条は、とても参考になり、眼から鱗が落ちた気がした。

自転車で帰社、今度は親睦会の幹事会。9月中旬の懇親会の担当幹事を引き受けた。
地産地消の、地ビールと地酒の夕べとすべく、趣向を凝らしたいと今から張り切っている。
出席と申し込んでいたので、午後から千葉県主催のバイオマス・シンポジウムに向かった。
会場のホテルがある海浜幕張は、ひどい混みようだ。子供連れが多い。幕張メッセで何かのイベントかと、帰宅して調べてみたら「ポケモンフェスタ2007」か、なるほどね。

肝心のシンポジウムは、農水省のバイオマス推進室長市の話が、最近のバイオエネルギーについて総括的で良かったのと、県の担当者氏のドイツ・バイオマス最前線がやや面白かったくらいで、他は素人の学芸会のよう。

会場には300人ほども集まっていたようだが、これでは皆、得るものもなかっただろう。
開催することに意義があるのは、主催者側の論理。忙しい企業担当者としては、これではとてもお付き合いすることが出来ない。本格的な取組み事例を紹介すべきだし、県内にそのような例が無いというなら、日々のご自分たちのお仕事に大いに疑問を持たれるがよいのである。
千葉県のバイオマス利活用推進シンポジウムに出席した。最初の演者、東京大学の五十嵐先生の講演が面白かった。時間の制約がなければ、この方の独演会でも良かったくらいだ。
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石油に匹敵するはずもないバイオマスと、最初から釘を刺した。地球温暖化は進行しているが、その原因としてはCO2が一因とされているが、この点は議論がある、と語った。
共にさらりと済ませたが、そのニュアンスを理解した人が何人いただろうか。
最先端というより、バイオマスの全世界的な開発最前線を客観的に説明していただき、とても参考になった。頭の良い人の、俯瞰的な見解がとても興味深く聞けたし、わが国のセルロース・エタノール転換技術開発の必要性を痛感した。発酵は我が国のお家芸であるはずであります。
政府は必要なところに補助金を出せ。企業よ今こそ集え。明日のエネルギーを確保せよ。
休耕田の有効利用で、水田の環境保全をしつつ国内のプラスチックがまかなえるそうだ。