10/22 赤絵の桜、鯨の王

f0057955_2292813.jpg赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え 山本一力 文春文庫。
待ってました!一力さんの看板シリーズ二作目だ。

相変わらず登場人物の立ち姿が心地よい。
密度が高くて、しかしちょうど良いボリュームの5編の短編集で、中でも共に知恵者の喜八郎と伊勢屋が揃って手玉に取られる「逃げ水」が白眉。
仕掛けた側の江戸を離れた寂しさ、栄華を誇ったかつての江戸の町が変わリ果て、しかも既に自分の居場所が無い悲しさを、丁々発止やりあった相手にぶつけて去る後姿に涙する。
しかし、喜八郎よりも年上で、それを判らぬ伊勢屋でもあるまい、と感じたが。
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鯨の王 藤崎慎吾 文芸春秋。
深海底で火山性の熱水を噴出すチムニーの群れ。
スモーカーの熱水に溶けた物質が支える豊かな生態系。
この場所に新たな開発を持ち込まんとする企業。
その深海を住処とする、まだ世に知られていない巨大な鯨類。
これを追う科学者。
深海の巨獣を狩る最新装備の攻撃型原潜。
この未知の鯨は、音波を駆使して攻撃を仕掛けてきた。
リバイアサンと言わぬところが良い。海洋SFの傑作である。
by yokuya2006 | 2008-10-22 20:44 | 趣味の読書 | Comments(0)