3/31 ルドルフ・カイヨワの憂鬱

f0057955_10593855.jpg徳間書店 北國浩二著 第5回日本SF新人賞佳作入選作だ。
大変な傑作だと思うが、これが何故「佳作」止まりかと言えば、SFの匂いが薄いからだろう。
確かな筆力、ストーリー展開も巧いし、脇役もしっかり固められ、主人公も立っている。

舞台は近未来、胎児に感染して深刻な脳障害をもたらすウイルスが蔓延する米国では、胎児のDNAスクリーニングが既に義務化され、また体外受精の義務化法案も可決されようとしていた。
そんな中、遺伝子関連の専門家である庶民派弁護士ルドルフ・カイヨワのもとに、ヒト卵子の無断採取事件が持ち込まれる。
別事件の女性依頼人や親友の私立探偵と共に調査を進めるうちに、ことは国家的な陰謀に突き当たり、また忌まわしい自らの過去、憎むべき天才的な生命工学科学者である父との出会いを余儀なくされることになる。

アクションあり、ロマンスあり、大仕掛けな謎ありで、これはハリウッドで映画化したら受けるだろうな、と思う。米国を舞台に書かれているし登場人物の設定も皆アメリカ人だが、彼等の行動や思考回路は結構日本人的?で、この点安心して?読めた。なにより生真面目な紳士で、自分に厳しく他人に優しく、実はマッチョも可の主人公が、魅力的だ。

前回読んだ「夏の魔法」でこの作者が気になって、紀伊国屋ブックウェブで購入した。
これは探して読んでみて大正解である。こんなことができるのも、ネット書店のお陰だな。
by yokuya2006 | 2007-03-31 11:04 | 趣味の読書 | Comments(0)