2/23 似せてだます 擬態の不思議な世界

f0057955_1744579.jpg科学同人 DOJIN選書 藤原晴彦著、を読んだ。
強い相手に似せて敵を遠ざけたり、植物に似せて身を守ったり、時には相手を誘き寄せて食べてしまったりの、おなじみの昆虫の擬態だけかと思いきや、マラリア原虫やウイルスが宿主の免疫システムを攪乱させるのも分子レベルの擬態であるという。

鳴き声をまねて他人の親から餌をもらうカッコウの幼鳥は聴覚の擬態。臭いで虫を誘き寄せて受粉を狙う花や、アリの仲間認識フェロモンを発してアリの巣にもぐりこむ虫の臭覚の擬態もあるてんだから、魂消ます。表紙イラストのアゲハ蝶も、言われれば確かに後ろに頭があるように見える。攻撃回避のワザらしい。

擬態は、モデル-模倣者-情報受信者の三者間をまたぐ複雑な情報ネットワークの攪乱である、と著者は述べる。

f0057955_1761643.jpg昨年、ベランダの柚子の木に取り付いたアゲハの幼虫に悩まされたが、この本でその見事な変身振りを知り、何か愛着が湧いてしまった。

昨年私が撮った写真、アゲハは4齢幼虫までは「鳥の糞」の擬態であり、5齢幼虫は「緑の葉」の擬態であるそうな。f0057955_176459.jpg同じ奴等とは知らずに、5齢は知っていたので残したが、「鳥の糞」の虫は捨てていた私だ。面目無い。だって、同じ虫だと誰が思いますか。と言い訳。

動物の表皮の模様が、チューリング・パターンと呼ばれる数理モデルの反応拡散定数の変化で説明できる(らしい)というのも、面白い。
シマウマも、ヒョウも、ホルスタインも、パンダも、この法則で模様が決まっていたのか。
これに関するサイトを見つけたが、シュミレータを起動しようとすると私の場合はIEがフリーズしたので、ご注意。動物模様HP・名古屋大学

擬態のしくみ解明に最先端の科学で挑戦する!と帯には勇ましいが、今ひとつ食い足りないかな。エピローグの「人間社会における云々」は取って付けたよう。でもお勧めの本です。
by yokuya2006 | 2007-02-23 22:17 | 趣味の読書 | Comments(0)