1/15 バイオガスは、やめておけ

実家に戻り北海道新聞を開けば、「バイオガスプラント3基同時建設へ」の一面記事が目に飛び込んできた。
十勝管内の農協と組合員、農機具メーカーが共同出資して会社を立ち上げ、家畜ふん尿を原料とした大型バイオガス発電プラント3基を同町内に建設する」のだそうな。

酪農の規模拡大が進む傍らで、ふん尿処理が課題だったので計画を進めていた。」とある。となれば、これは危険だ。
何故かと言えば、バイオガス技術は糞尿処理技術ではないからである。

バイオガスはメタン発酵技術、つまりメタンガスと二酸化炭素の混合物を生成する。メタンはCH4、二酸化炭素はCO2。従って、バイオガスを生成すれば炭素:Cと水素:Hと酸素:Oは古細菌の働きで変換されるのだけれども、糞尿に含まれる窒素:Nとカリウム:Kとその他の塩類は減らない、むしろ濃縮されるのだ。
少し理科の時間を思い出してもらえれば簡単な理屈である。

記事では「液肥は畑に還元する」とサラリと書いているが、これが問題なのだ。バイオガスを取り出した後の液肥には、窒素やカリウムや濃縮された塩類はそのまま含まれていることになる。これはそのまま液肥に残るので、土壌に対する負荷は変わらない。処理後の液肥(とやら)を畑にまいても、糞尿処理の方法としては何ら解決していない。

むしろ、ハンドリングが良くなることで撒きやすくなり、施肥過剰が心配される。いわんや、北海道の酪農地帯の土壌は、すでに過剰施肥であり、牧草の栄養成分に悪影響を与えている現実を認識すべきである。

アンモニア:NH3はメタン菌を阻害するので、バイオガス発酵プロセスでアンモニア(窒素)を除去する方法はある。今回導入される施設が、このアンモニア除去プロセスを含んでいれば、問題は少なくなる。僅かばかりではあるが、、、


耕地面積に相談せずに、大頭数飼養のためにバイオガスを導入するなどもってのほかだ。何も解決しないからである。農機具メーカーとやらは、ここをしっかりと説明すべき義務がある。売らんかな、の時代ではないことはお判りでしょうね。

耕地面積に照らして適正な家畜頭数を飼養することを前提に、そこから最大限の利益をくみ上げるためには如何するべきか」をこそ、この際 議論していただきたいものだ。
by yokuya2006 | 2017-01-15 18:15 | 牛ネタ | Comments(2)
Commented by そりゃないよ獣医さん at 2017-01-15 20:48 x
素晴らしい。これほどはっきりとした、バイオマスもとい、バイオガス(わざとです)について書かれたことを不肖にも知りませんでした。別海町では捨て所がなくなって、こんなに広いのに、こんなに離農が進んでいるのに、捨て場所がないなんて、なんという無駄遣いか、長期的視点のないことかと思います。
私は大型化に反対して、昨年一般社団法人、アニマルウエルフェアー畜産協会設立に関わりました。結構頑張っています。多頭数なら乳牛の面倒が見れないということから、頭数制限すべきと思っています。
バイオマスはもとい、バイオガスはとんでもないと思っています。植物が獲得したエネルギーのポテンシャルを落とす飼養形態は地球にやさしくないと思います。
バイオガスのことにについての詳細な文献があればメールください。
okaiken@outlook.com
Commented by yokuya2006 at 2017-01-15 21:43
そりゃないよ先輩、お褒めいただいたのでしょうか。
私は、糞尿処理はプロのつもりです。ショベルローダーを運転しての堆肥の切り替えしでは、誰にも負けない自信があります。

バイオガス技術が発達したドイツでは、そもそも耕地面積当たりの総量規制の中での、発電農家プロジェクトでした。

そのドイツで近年注目されているのが乾式バイオガス・システムです。Biofermで検索してもらえば、いろいろ出てくると思います。

国内の会社も扱い始めたようですが、ここは私は未評価です。