6/4 人工知能のはなし 長め

暴走「ヒトラーは正しい」、息子の声で「お父さん、300万円貸して」産経新聞の一面にこんな文字が躍っていて、魂消た。
人工知能(AI)の脅威と効能を紹介するシリーズ記事なのだが、まあ何と言うべきか頭の固さが、想像力の貧困さが、いかにもこの新聞らしい。しかし、トップに持ってくる記事なんでしょうかね。

で、人工知能についてツラツラ考えた。
私のようなSF読みには、人工知能は昔からの付き合いだ。お陰で十分に思考実験できているし、容易にメリットとデメリットが腑に落ちる。碁打ちがAIに負けようが、ロボットカーが街を走ろうが驚きはしないし、やがてはヒトに代わって社会的な判断場面で活用されるようになるはずだ。当然、暴走も起こりうるので、対処が肝要である。

真空管がトランジスタに置き換わり始めた頃、つまりコンピュータが現実味を帯び始めた頃、SF小説の世界では先駆達が既にAIを描き始めた。

古典的名作デューン:Dune(フランク・ハーバート)では、物語の前提からして知性化したマシンとの戦いを辛うじて乗り越えた人類が作り上げた世界だったし、月は無慈悲な夜の女王:The Moon Is a Harsh Mistress(ロバート・ハインライン)では、ハードウエアの蓄積により知性を得たコンピュータ「マイク:マイクロフト」に仮想人格「アダム・セレーネ」をまとわせ、月の独立を戦う物語だった。戦闘の終わりに周辺機器の損失からか沈黙してしまったマイクに、大きな喪失感を覚えたものだ。

少し新しくなってジェイムズ・ホーガンのガニメアン・シリーズには、素晴らしく知性的なAIが登場する。恒星間宇宙船シャピアロンに搭載されたAIの名前はゾラック。ヒトと対等な立場で会話し、地球人が間違った発言をすれば皮肉を返す。敵船の追跡にかかる際には、英国式の鬨の声を真似て地球人を驚かす。

次いで登場するのは、テューリアン世界に属する者を仮想空間に統合し、宇宙をリアルタイムに結ぶ超AIヴィザー。ゾラックを梃にして敵勢力の超AIに干渉し、相手の情報を瞬時に書き換えて仮想戦争を演出し宿敵ジェヴレンを追い詰める。
何せ、宇宙空間に存在する無用の衛星を燃やした無尽蔵のエネルギー源でバックアップされ、宇宙都市のエネルギーと環境制御を全てこなし、広大な仮想空間を構築し、宇宙空間の任意の場所に高速回転させた極小ブラックホールを作り出して通信回線を通すは、より大きなブラックホールで宇宙船を恒星間移動させるは、科学万能楽天主義者ホーガンの真骨頂だ。

はるか昔にアジモフのロボット工学三原則が生まれて、機械がいつか人間に歯向かう:フランケンシュタイン・コンプレックスの概念が提出されている。
無論のこと、人類に敵対するマシンやAIを扱ったSF小説、漫画や映画は数知れない。有名どころの映画では、ターミネーター、マトリックス、エックスメン(フューチャー&パスト)などなど、このテーマは既に陳腐化しているといってよい。

しかし人類は、マイクを、ゾラックを、ヴィザーを目指すべきだと思うのだ。そー言えば最近では山本弘氏のアイビスもいたな。
とまあ、このくらいの常識?を持って記事を書いてもらいたいものだと思った次第です。
by yokuya2006 | 2016-06-04 11:49 | 日常の雑感、覚書 | Comments(0)