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3/1 強制起訴を考える

東京電力福島第1原発事故をめぐり、旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された。
これだけの事故が起きて、責任が追及されない事がそもそも異常なのだ。ここは是非「あら探し」ではなく、科学的に判断してもらいたいものだが、人災であれば責任を問われる事は止むを得ない。

で、これは人災であると私は捉えている。
既に専門家が冷静な目で事の成り行きを見詰めたリポートが公表されており、ある程度の知識を持った人には納得しうるものである。

1~4号機に発生した最悪の事態を招いたのは電源喪失であった。電源は外部からの受電設備が地震により壊れ、送電線を支える鉄塔が倒れた事で危機を迎えたが、5号機と6号機は空冷式の非常用ディーゼル発電機が辛うじて一機、原子炉建屋内で生き残った為に助かっている。

つまり、津波以前の問題として「地震による電源喪失があった事が原発事故の原因」なのであり、この外部電源喪失への対処が、国内外の知見に照らして充分であったかが問われるべきである。

格納容器内に窒素充填されるBWR(沸騰水型の軽水炉)は、建屋内での水素爆発は起こり得ないとされてきた。実際には炉心の冷却機能が失われたことで、プロにも想定外の「燃料被覆管のジルコニウムが高温で酸化され水素が発生」して水素爆発が起き、災害の「見た目」を大きくした。

原爆のピカドンも、水蒸気爆発も、水素爆発も区別がつかぬ人達には全て同じに映るのだろうが、この水素爆発は復旧作業を困難にした以外には、実は大きな問題ではない。ベント遅れとやらも然りで、爆発の原因ではなく、ましてや当時の総理大臣のヒステリーによるものでもなく、マスコミの不勉強がもたらした誤報であった。
急きょ派遣された方々を含め、現場は実に賞賛すべき対応をしていたのだ。むしろ私は、ここに「身を賭して他を守る」日本人の美学を見る。

原子力は、ここまで厳重にリスク管理せねばならぬエネルギーなのだ。
その理解を軽視し、或いは惰性に甘んじた経営者には、責任を取ってもらう必要がある。故郷を追われた住民、人の住めない国土を現出せしめた罪は大きい。

そして、この裁判で問われるべきは「原子力発電は、現状の科学技術水準の人類にとって正しい選択であるか」と云う事なのである。
勿論のこと、答えは疑うべきもなく、すぐさま「否」である。
by yokuya2006 | 2016-03-01 21:59 | エネルギー | Comments(2)
Commented by そりゃないよ at 2016-03-02 00:01 x
高浜原発再稼働の事故(というよりトラブル、というよりミス)には笑っちゃいます。中学生が交錯の時間に起こしたミスのようなレベルの出来事です。あきればかりです。そんなに再稼働したければ、もっとまじめにやれ!!
コメントありがとう。
Commented by yokuya2006 at 2016-03-02 18:50
笑っちゃいますよね~、絶好の餌食ではないですか。ここまでして原発の非安全性をアピールして下さるのですから、まったく頭が下がります。
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