11/5 サンクコストとコンコルド・ファラシー

原子力規制委員会が、高速増殖炉「もんじゅ」をもはや日本原子力研究開発機構には任せられないとして「これに代わる運営主体を明示せよ」と勧告したと報じられた。保安措置が適切に遂行できず、原子炉管理の基本的な能力を持っているとは認めがたい、との評価だそうである。

高速増殖炉そのものの存在意義には言及せず、管理主体の能力不足と搦手で来たわけだが、私は自分の仕事でも実(ジツ)を取るのが主義である。結果として「もんじゅ」が廃炉になれば、経過は、理由は、この際どうでもよい。

関係者には言いにくい言葉もあろう、責任問題にもなりかねない、下手に技術論を持ち出せば議論が漂流する恐れもある。ここは日本人の得意な「大人の判断」で、責任は玉虫色で結構、廃炉が当面のゴールと考えたのだとすれば、委員会は尊敬に値する。

我々、企業で製品開発に携わる者がセミナーなどで教わる言葉に「サンクコスト」がある。埋没費用と訳され、つまりこれまで投下したコストや労力を現時点で見直した時に、回収できない経費を指している。製品化が成った暁にも利益が投資に満たなければ、マイナス分はサンクコストである。勿論、製品化できなかった場合は全てがサンクコストと云われる場合もあるが、例えば製品化プロジェクトに関わった社員の質的成長や、派生した技術が将来的に陽の目を見ることもありうるわけで、簡単な割り切りは難しい。

そして企業では「敢えて損切り」して、方向転換する事は当たり前なのだ。過去の投資や労力、組織の面子や責任の所在を問うても仕方がない。その時点、その時点で見直して経営判断が求められる。但し、企業では責任者の降格も当然ありうる。

類義語にコンコルド・ファラシーと言うのもある。コンコルドの誤謬、これだけ投資したのに、環境の変化に置いて行かれて「今やめたほうが良いのに」続けてしまい墓穴を掘る。
我が国の原子力に関わる研究者は、皆大変優秀であるはずだ。注ぎ込んだ負けを取り戻すために血眼になる、パチンコ狂いの方々と同じメンタリティである筈がない。

国民は、ここは損切りを認めよう。
高速増殖炉は、そして原子力発電は、もはや時代遅れなのだ。
by yokuya2006 | 2015-11-05 10:36 | エネルギー | Comments(2)
Commented by rollingwest at 2015-11-06 06:10
リスク対応や回避コスト、それに関係する様々なコスト、目先の効果だけでは判断できないものも多くあるので色々難しいですね。それにしても原発運転にかかわる運営者に不安をかかえているとはちと恐ろしい・・

(PS)お待たせいたしました~!久しぶりにプログレ登場です。イエス「ラウンドアバウト」(名盤こわれもの名曲の数々)を公開いたしました~!彼らは40数年前に早くも地球がこわれものとなっていくことを予言していたのかもしれない。
Commented by yokuya2006 at 2015-11-07 08:02
手に負えない技術だと分かっていても、当事者から「やめましょう」とは云えぬもの。ここは引き際を用意してあげるのが、大人の対応です。