2/12 「日本再生」の指針

f0057955_13114637.jpg書名 「日本再生」の指針
副題 聖徳太子「十七条憲法」と「緑の福祉国家」
著者 岡野守也、太陽出版、1,500円+税

サングラハ教育・心理研究所主幹 岡野先生の講義録を中心として構成された一冊。

前半は、聖徳太子が定めた我が国最古の憲法である「十七条憲法」の現代語での意味を深く掘り下げる。
続く後半では、この十七条憲法による国造りの精神と、その根源で一致・共鳴する現代スウェーデンの国家理念を概説する。

戦時中、皇国史観に都合よく誤読されて利用され、そのため昭和の時代に、左の学者から総攻撃された聖徳太子と十七条憲法。
そもそも架空の人物だ、勝った側が後から捏造した憲法である、果てはキリスト教徒であったなどの珍説(これは岡野先生は書いていない)まである有様だが、岡野先生は「十七条憲法は唯識を学び悟りを得た人物による作」と仰る。
何せ、キリスト教神学を修め、加えて仏教に造詣深く、唯識に関する著作が多い賢者:岡野先生の言葉であるから、これは説得力がある。仏教を深く知る岡野先生の解釈で、今 我々が十七条憲法の真髄を学べることは、有難いことである。

発布された年代から見ても世界に誇るべき理想を掲げた十七条憲法。高邁な理念ばかりではない、極めて具体的に「高級官僚は精進せよ」「公正な裁きをせよ」「勝手に税を徴収するな」などとも書いてある。摂政の地位を確保して後、蘇我氏と協調・時に牽制しつつ改革を進めた聖徳太子は、菩薩であり、且つ極めて現実的で有能な政治家でもあった。

一方で、現代スウェーデンの国家戦略として選択された社会民主主義が、憧憬の念をもって紹介されている。若く優れたリーダーの主導による高い理想と、しかし非常に現実的で実際的な国政運営。市場は必要だが資本主義の形はとらない。原発を早期に選択し、現在は廃止を決めている。グローバリズムの危険性を早い時期に喝破していた、まさに理性的な「大人の国」の先行例である。社会主義の実験国家と云った見方もされる所以だが、その歴史には確固たるものがある。

権利のみならず参加してこその自由、万人における平等と、社会的存在である人間なればこその連帯を正しく意識すること。スウェーデンが標榜する緑の福祉国家は、十七条憲法の理念とも一致するのだと説く。

まさに日本再生はここから発想せねば覚束ない。
在りがちな「できるところから」論では空回り、自己満足に過ぎず、必要な手当てを遅らせかねない意味でむしろ危険である、とは小澤徳太郎先生の言葉だ。政策を掲げて民主主義の場で議論する必要があり、そのためには学者が真摯に議論をし、また国民がそれらを理解し優れた政治家を育てて代表者として議会に送るべく行動せねばならない。

左でも右でもない、神様でも仏様でもなく(菩薩であられるかもしれない)、ましてや新興宗教の教祖ではない、実直な研究者・実践者としての岡野先生は、既にその活動を進めておられる。
⇒持続可能な国づくりの会ブログ
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この本の読者が増え、読後に「正しく憧れる」方々が増えて欲しいものだと感じている。

ご本人による紹介がYouTubeにあったので貼っておきます。この本の発行は2011年7月です。
みんな読んでね。
by yokuya2006 | 2012-02-12 12:44 | 趣味の読書 | Comments(0)