3/19 原子炉 臨界 核爆発(ありえない)

ネットをいろいろ見ていると、どうも基本的な事を知らずに書いているのだろう、悪気は無いのだろうが理科系の私にしてみれば間違った、混乱した、短絡した表現が目につくのだ。

原子炉の臨界による核爆発とか、無頓着に書いてある。この人たちは、多分「原子炉は臨界状態で運転する」と言う基本的な事を知らないのだろう。
ウイキ等で調べればすぐ判る事だし、読んでも理解できなければ書かなければ良いのだ。この非常時に、デマになりかねない言動は慎むべきだと思いますね。

核分裂は、ある程度の核分裂物質の集積と、そして中性子の飛び交う数が必要だったはずだ。
核分裂の引き金を引く中性子を、中性子を吸収する働きのある制御棒などでコントロールして、臨界(核分裂の連続的な持続=連鎖反応)状態を安定的に維持するのが原子炉の真骨頂だ。
制御棒が核燃料に挿入されれば、中性子が吸われて核分裂(臨界状態)は停止される。確かに、コントロールできなくなり、壊れて外部に露出した形で臨界が続く事は、あってはならないのだが。

臨界は、核爆発ではない。核爆発とは、一気呵成に核分裂物質を臨界状態に持っていく、「兵器に特有の事象」である。原子炉は、あくまでもゆっくりと「失われた質量に相当するエネルギーを取り出す」技術である。E=MCスクエアは、確か高校の物理で習ったと記憶している。質量がエネルギーに変わるのだから、これは物凄い熱量が得られるわけだ。人類の偉大な発見なのだ。

メルトダウンは、勿論あってはならない事だが、これも核爆発ではない。空だきになった高温の燃料棒が溶融して原子炉を溶かし破壊して、溶けた金属が冷却水などに触れて水蒸気爆発を起こすことはあっても、これを核爆発とは呼ばない。ただし、水蒸気爆発でも放射能を帯びた核分裂生成物が飛散することは、大変な惨事となる。

使用済み核燃料は、使用済みなのだから、原子炉内の燃料棒よりは当然の事だが核分裂物質の濃度は低い。何せ燃料にするには再処理が必要なくらいなのだ。しかし放射線を発する核分裂生成物を多量に含んでいるから、外部に露出することはあってはならない。

と言う事で、とりあえず燃料棒や使用済み核燃料の熔融を避けるために、水で冷やすべきなのだ。
核爆発は絶対に起こらないが、メルトダウンによる水蒸気爆発などで、放射線を発する(放射能を帯びた)核分裂生成物がばら撒かれるのが怖いのだ。

私は原発推進の立場ではないが、代替エネルギーを用意できぬうちにすぐさま原発を廃止せよとは思わない。しかしここまで危うさが露出しては、もう我が国では原発のこれ以上の建設は出来なくなったのではないか。人間が如何にその技術力で備えていた(つもりであった)ところで、自然の猛威はその想定を上回る事が示されたからである。
コントロールできない事が判れば、もう諦めるしかないではないか。

太陽光、風力、そして何より火山国日本の地熱発電が有望かもしれない。
原子力の既得権を捨てて、産業界には地熱発電で世界の先頭を走ってもらいたいものだ。
by yokuya2006 | 2011-03-19 12:02 | 日常の雑感、覚書 | Comments(0)