3/7 生物は生物で制御する

午前中は札幌事務所で関係会社2社と打ち合わせ。3社それぞれの思い入れがあり、実施に至ればいろいろと齟齬も生じて、調整が必要となる。このコーディネイトの労を惜しむと、成就は難しい。
進展しているからこそ調整が必要となるのであって、面倒がらずに対処するしかない。当事者の立場を離れて批判するだけならば、事は簡単なのである。
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午後からは北海道大学に移動して、学術交流会館で「土壌病原菌や有害線虫を駆除する薫蒸作物の開発と利用方法の確立」成果発表会を聞く。
土壌消毒剤として長年活躍してきた臭化メチル(ブロモメタン)が、温暖化の元凶としてモントリオール議定書により国際的に規制された経緯があり、その代替技術の一つとして注目されているのが機能性緑肥の活用である。

からし油成分「アリルイソチアネート:allyl-ITC」を産生する緑肥作物チャガラシ、特にその生成量の多い品種を育種選抜し、これを土壌にすき込んで、土壌病害を軽減する試みである。
ちなみに、チャガラシにはallyl-ITCが含まれている訳ではなく、配糖体シニグリンの状態で存在しており、すりおろすなどして酸素に触れると酵素ミロシナーゼの働きでallyl-ITCが生成する。このプロセスは、同じアブラナ科の大根(おろし)やワサビ、辛子と同じだ。

具体的には、北海道では5月上旬にチャガラシを播種し、6月下旬に花が咲き始めたところで土にすき込む。この際に、有効成分がよく生成するよう「切り刻んで」すき込む事が重要となる。
すき込んだら十分に潅水し、ビニール被覆して約2週間の腐熟期間を取り、その後はシートを外して乾燥させ(還元消毒的な技術と組み合わせ)て、7月上旬に例えばホウレン草を播種するなど。
これで、フザリウムなどのカビ菌が原因となるホウレン草の病害が軽減できる訳である。

その際の気温(地温)は高い方が良く、また腐食の多い土壌ではガス化した有効成分が吸着され易いなど、実際の作業には注意が必要なようで、この辺りは使い勝手の良い農薬とは異なるところだ。

私の微生物の恩師のモットー「生物は生物で制御する」を思い出した。この発表内容も、人間の浅知恵で有効成分を合成して直接施用するのではなく、あくまでも生物を介して制御を試みるアプローチと言えるだろう。生物活動であれば、自ずと周囲の生物からの抑制も働く。その抑制を回避出来る手法であれば、これは自然が(生態系が、神が?)許した手法である証拠と言えなくもなかろう。
そんな事を考えながら聞いていた。
by yokuya2006 | 2011-03-08 22:15 | 仕事と出張 | Comments(0)