6/10 農業機械学会シンポジウム

8日に聴講してきたシンポジウム。今日の移動時間にまとめ終えたのでUPしておこう。

東京ビッグサイト2010国際食品工業展FOOMA JAPANに併催の、農業機械学会シンポジウム、フーテックフォーラムを聴講した。テーマは「食料の自給率向上に寄与する最先端技術」
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講演1 筑波大学の名誉教授による、食料自給率の向上とフードテクノロジーの展開方向
作り込んできたパワーポイント資料のファイルが壊れてしまったとかで、口頭講演となり、話が散らかって時間が足りなくなるアクシデントがあったが、非常に広範にタームが散りばめられ万華鏡を見るかのような講演は、聴いていて楽しかった。
政策誘導による食の産業の形成発展の必要性、今回の口蹄疫にも明らかな分権的な危機管理システムの重要性、穀物の先物取引に実需者以外が相場形成に関わる違和感、EUの農業所得保障と直接支払いの変遷、LCAとセットの製品作りのメルクマールとして制御された農業のビジネスモデルが必要、市場経済で出来るものと出来ないものがある、空間と時間に応じた農業の示唆など、理系の技術論ではない農業経済学からの切り口も面白いものだ。

講演2 新潟大学の教授による、米粉加工技術で美味しい食事
北海道の「おぼろづき」、九州の「にこまる」の新品種の登場など、コシヒカリとその子孫ばかりではない有望品種が続々と登場している。カレーライス向け米として、ジャポニカとインディカの混血の華麗米というものあるのだな。

一方で、分析機器の進歩があり多面的な食味評価が迅速にできるようになっている。おにぎりからも、日本酒からも、原材料の米のDNA分析が可能な時代なのだ。
米の粉末化のみならず、米を糊化組成物として各種素材を練り込んで麺・パンを製造する技術や、発芽玄米の発芽促進と微生物による変質防止に赤玉葱を使うなどが面白い。
米の加工による用途拡大で、我が国の食料自給率向上に寄与したいと結んだ。

講演3 中央酪農会議の理事による、国産酪農製品の自給率をめぐる課題と取り組みの現状
本来、国内生産と消費がニアである酪農製品、世界的に見て生産量に占める貿易量の割合は、バターで20%、チーズで10%、脱脂粉乳で5%、共に非常に薄い市場であると言える。我が国での酪農製品市場は急速に拡大しているが、反面で自給率を落とし現在は70%を下回っている。チーズの消費拡大や飲用乳の消費減退などの市場構造の変化が、その背景にある。

不足払い制度の成立から乳製品市場の多様化・低コスト化に伴う制度の変遷、生産調整型から販売調整型需給調整対策への転換の現状を切れ味よくまとめた。

講演4 中央農研の先生による、国産大豆生産量向上のための機械作業技術からの取り組み
世界の大豆の生産量は2億1千万トン、米国次いでブラジルでその65%を占め、我が国の生産量は23万トンで0.1%に過ぎない。一方で我が国の大豆消費量は403万トンで、実に92%を輸入に依存しているのだそうだ。しかも畑面積当たりの収穫量も、米国・ブラジルでは260kg/10aを超えているのに、我が国では多くて190kgだという。我が国の大豆は食品加工用、海外は主に搾油用の品種であることも背景としてあるが、この低収量をどうにかしたい。

我が国での大豆栽培の低収要因は湿害と、これによる発芽不良なのだそうで、これを作業機の改善で取り組んだ。大豆の高畝立て栽培なのだが、耕運の刃が進行方向に対して下から土を切り上げるアップカットロータリー機構を採用した耕運同時畝立て播種機を開発したのである。下から切り上げるので破土性能が高く、しかも畝の構造として下に荒い土粒が、上に細かな土粒が位置するので、畝の排水性能が良く種子の水分条件を整えることで収量がアップするのだそうな。地道な研究と確かな成果に好感。

講演5 千葉大学の教授による植物工場における最先端栽培技術の紹介
植物工場は、施設園芸から派生して近年その数を増し、また技術的にも進化している。新鮮で安全安心な野菜の需要は増加しているが、国産であることのニーズも高い。

植物工場の種類としては、断熱壁に囲まれた空調管理、溶液栽培と人工光、栽培管理の自動化を行うのが「完全人工光型」、所謂温室で太陽光を取り入れるが空調管理と溶液栽培を行う「太陽光型」、これに人工照明を付加した「人工光併用型」に分けられるのだそうだ。

演者は、人工光は「お天道様の代わりになる」と言い切る。むしろ、電磁波の波長を変えて目的通りの成長を確保したり、例えば青色光や紫外線領域を照射して植物に機能性成分を産生させることもできると言う。
無農薬で安定した高品質、安心安全に機能性成分が加われば、なるほど植物工場には未来が開けているのかもしれない。

私の好みからすれば、根は土に張っていて欲しい。人工光はお天道様の代わりになるかもしれないが、溶液栽培は根圏微生物の代わりになるのだろうか。意地悪な質問をしてみたかった。この先生の講演は聴講者も多く、関心の高さをうかがわせた。

もう一題の講演があったのだが、会社の仕事に呼ばれていて止むなく途中退場した。
by yokuya2006 | 2010-06-10 21:34 | エサと飼料化 | Comments(0)