1/15 ストックホルムの密使

f0057955_2263871.jpg佐々木 譲、新潮文庫
第二次大戦秘話三部作の完結編。
ドイツが敗戦に傾きかける頃、パリでゲシュタポに身柄を拘束された森四朗が、ベルリンに拉致されるところから、物語は始まる。

戦況は押し迫り、米国では原子爆弾が開発されるに至って、四朗は図らずも帝国海軍ストックホルム駐在武官から、祖国への重大情報を託されることになった。

役者が出そろって、突然の出来事に呆気にとられて上巻が終わる。下巻は、敗色濃い日本の描写と並行して四朗の決死の脱出行が始まる。果たして四朗は間に合うのか、日本は列強の思惑を乗り越える決断を成せるのか。

国体を護持せんと画策するもの、愚直に職務を全うしようとするもの、その中にあってしかし認識を改めざる得ないもの、果敢に、柔軟に戦局を読みつつなお国柄を保とうとするもの、皆それぞれの意志の元に行動して、作者は悪者を作らない。その中で、戦争とは、祖国とは、と言ったテーマが浮かび上がってくる。読みごたえのある上下巻900ページである。

佐々木譲さん、直木賞おめでとうございます。ファンになりたての身ですが、受賞報道を嬉しく拝見しました。
by yokuya2006 | 2010-01-15 23:05 | 趣味の読書 | Comments(0)