1/4 正月は佐々木譲で過ぎてゆくのだ、続き

f0057955_13225943.jpg警官の血 上下巻、佐々木譲、新潮文庫

浅草の生家も焼けて、母の実家で戦後の生活を始めた復員兵の安城清二。
新婚の妻から妊娠を告げられた彼は、警視庁に巡査の職を求めた。上野署の巡査を八年務めて、彼は念願の派出所勤務の身となる。

彼と彼の息子とそのまた息子の三代の昭和、そして平成。その時代背景を活写しつつ、親子三代の警官の物語は続く。清二が追い、清二の息子の民雄が肉薄した真相に、民雄の息子の和也がついに辿り着く。
なるほど、それぞれの人物描写が際立っており、彼らが個々に遭遇する出来事と、親子三代を貫く謎とが重層的に織り込まれて、これは大層面白い。傑作である。

制服捜査、佐々木譲、新潮文庫
札幌で15年間を刑事として働いてきた川久保は、ある時、十勝平野の農村の駐在所勤務を命じられた。単身赴任を選択せざるを得なかった彼は、ぎこちなくも地元の世話役と協調しながら地域の防犯を模索するのだが、、、

短編集であり、駐在奮闘記と思って読み進めたが、川久保の憤りが伝わってどうも読者としても違和感が高じてくる。彼の刑事としての経験が警鐘を鳴らす。無能な同僚や傍若無人の地元有力者の行いが鼻につく。旧弊で事なかれ主義の地方の有り様そのものが、彼の職務遂行の障害として否応なしに浮かび上がってくる。そんな中で、10年以上前の未解決事件の再燃を察知した川久保は、断固たる行動に出た。

なるほど、これも面白い。短編集なのに、読み始めたら止まらなくなって一気読みしてしまったではないか。もったいない。
これは主人公が作者の思惑以上に動き始めているのではないか、と思わせるほどキャラが立っている。まだ続編が用意されているようで、楽しみである。

佐々木譲、素晴らしい作品を量産している。
次は何を読もうか。現代小説も多々あるようだが、とりあえずは既読のエトロフ発緊急電を二作目に置くという第二次大戦三部作を読了したい。
書店で、「ベルリン飛行指令」と「ストックホルムの密使」を探してこよう。
by yokuya2006 | 2010-01-04 13:34 | 趣味の読書 | Comments(0)