11/7 金剛石のレンズ

f0057955_20244893.jpgフィッツ=ジェイムズ・オブライエン著、大瀧啓裕 訳、創元推理文庫

作者は、19世紀初頭のアイルランド生まれ。アメリカに渡り、詩人、随筆家、小説家として人気を博した方だそうで、南北戦争の負傷がもとで若くして亡くなっている。

14編が収録された短編集は、特製の顕微鏡で水滴の中の微小宇宙を覗く科学者、虐げられた娘に財産を遺贈する幽霊、家の中に侵入してきた目に見えない謎の生き物を捕らえる話、魔物達との賭けに負けて思い出の品々に満ちた自分の部屋を失う男、中国を舞台に奇妙な手品使いが王位を奪還する話、毒の剣を持たせ魂を吹き込んだ人形たちに異教徒の子供達を殺害させる企てなどなど、奇妙で重厚で饒舌な多彩な作品集である。この作者を紹介せんと、作品を選りすぐり原作の味を生かした訳者の意気込みが感じられる。

当時の挿絵も添えられて雰囲気たっぷり。おそらく、思い出してはこれからも何度か読み返すであろう本である。
by yokuya2006 | 2009-11-07 17:40 | 趣味の読書 | Comments(0)