10/8 謎の日本人を探せ

フィリピンの取引先の社長から、相談を受けていた。
彼の会社のコンサルタントであり、友人として付き合っていたある日本人が、癌に侵された。社長が近所の病院に入院させたが、治療の甲斐なく数日前に死んでしまった、と言う。
社長は、日本円で数百万円にものぼる彼の治療費を支払ったらしい、聞いてはいたがフィリピンの治療費は高いものだ。

もっとも、社長の相談は治療費ではなかった。彼の日本の親戚に、彼の死を伝えなければならないが、その術がないことを嘆いていたのだ。彼は自分の会社に仕事を持ってきてくれたし、友として大切な人だった。ほら、こうして彼とメールのやり取りをしていたのだと、社長は涙目でアイフォン3Gの画面を我々に見せるのだった。

この社長、義理堅く、イイ奴だな。日本に戻ったら調べてみると、約束してきた。
帰路のマニラでは、マニラ総領事館にも電話して事情を説明し、調査をお願いしておいた。
情報は、ローマ字名と、建築関係の技術者であることと、彼の写真だけ。しかし、ネットで調べてみると、1時間もかからずに調べがついてしまったのだから、ネットは偉大である。

「氏名+建築」などでググルと、ある会社がNEDOの委託事業で「地球温暖化防止廃水処理技術の云々」を、タイで実施した報告書が見つかった。それに関わった日本人技術者の名前の中に、彼の名前と所属会社を見つけたのだ。フィリピンと同じ東南アジアであるし、分野も近いから調べてみる価値はある。その会社のホームページを探して電話をしてみた。日本人の尋ね人なのですが、と言ってみると、何と相手側から彼の名前が出てきた。マニラ総領事館から、昨日電話があったという。なかなかやるな!領事館。

同姓同名かも知れず、持ってきた写真をメール添付したら折り返し電話が来た。本人に間違いないとのことだった。
彼はこの会社の出向社員で、実家は鎌倉であり、マニラには奥様と子供が一人いるとか。日本の親戚など、彼についての情報はないと言うのだが、本当だろうか。日本の会社なら、従業員の素性は把握しているものだろうが。

フィリピンの社長は、彼に日本の事を聞いても言葉を濁して語らなかった、パスポートも見せなかった、何かイリーガルな(パスポートが切れたままとか、日本に居られなくなったとか)事情があったのかもしれない、とも言っていた。
自分のことは多く語らず、しかし自らの得意分野でフィリピンの会社を育て、友として受け入れられ、同郷人に知られることなく世を去った日本人技術者。なにか小説の主人公になりそうな人物である。

いずれこの会社を訪ねてみよう。できるだけ状況を聞いて、先方に伝えて良いことだけ連絡することにしよう」と同行者と電話で話した。
by yokuya2006 | 2009-10-08 19:53 | 仕事と出張 | Comments(2)
Commented by urasimaru at 2009-10-09 11:59
うわー。なんかいろいろすごいですね。
とにかく(ほぼ?)無事のお帰り、よかったです。
Commented by yokuya2006 at 2009-10-09 20:13
こんな侍もいるのですねぇ。死してのち止むってやつです。
畳の上で平穏に死にたい私です。