9/5 傷はぜったい消毒するな

f0057955_1850960.jpg副題は「生態系としての皮膚の科学」 夏目 睦 著、光文社新書。
茨城の石岡第一病院「傷の治療センター長」のお医者様である。
皮膚の怪我に対して、消毒薬とガーゼによる治療は間違っているとして、長年戦ってこられた方である。
今では氏の「湿潤療法」に理解を示すお仲間も、全国に増えている。
夏目先生のサイト「新しい創傷治療」は、こちら。

目からウロコの前半、消毒薬は化膿を引き起こす細菌も殺すが、皮膚に共生している有用菌も、生体が修復のために現場に派遣した蛋白質も皆殺しにしてしまう。
そもそも、化膿するためには条件が必要であって、ガーゼを当てるなどは、化膿菌に生育場所を用意することである。「かさぶた」を作る治療はするな、と仰る。

傷はジュクジュクしているのが治る早道であるのに、それを乾かすのは愚の骨頂、消毒薬は沁みるでしょう。それは生体にも悪いことなのですよ、と語る。
なるほどヨーチンが沁みるのを我慢していたMな私でした。

そして、圧巻たる後半。
単細胞生物からの進化をスピード感をもって概説し、細菌の進化戦略、対して我々真核生物の進化の過程から、表皮修復プログラムの進化と沈黙、神経系とは別個の表皮痛覚にまで言及する。面白くてあっという間に読み終えた。
今度、怪我をするのが楽しみになる!? 素晴らしい本である。
by yokuya2006 | 2009-09-05 21:10 | 趣味の読書 | Comments(6)
Commented by urasimaru at 2009-09-06 11:31
広告を見て興味は持ってました。後半、とても面白そうですね。読んでみようかな。
Commented by yokuya2006 at 2009-09-06 13:44
後半の、怒涛の細胞壁・細胞膜・皮膚進化論がすごいです。
同じ外胚葉由来の皮膚と神経。汗腺を含む皮膚表皮と末梢神経系は、皮下で中胚葉由来の真皮や血管系を挟んで、せめぎあっていたのですね。
この組織のオリジンから考察する、新たな創傷治療。
この方は、生物学者としても素晴らしい独創力を持っておられると感じました。
Commented by kyaspa145m at 2009-09-08 22:47
面白そうな本ですね、読んでみようかな
人間の体はうまくできているなー、不思議だなー、すごいなーというのはよくわかります
Commented by yokuya2006 at 2009-09-09 19:03
kyaspaさん、この本はお勧めです。
実践者の意気込みがビシバシ伝わってきますよ。
Commented by urasimaru at 2009-12-15 22:43
アトピーでかきむしった手の甲に、ワセリンをぬってラップを捲いてみました。即座にひりひりした痛みが止まり、手袋して作業する間10分ぐらいでしっとりしてきて、おお!って感じです。
Commented by yokuya at 2009-12-15 23:15 x
うちの子も、ワセリン塗ってます。いいみたいです。