9/2 成分調整牛乳

成分調整牛乳の台頭が心配である。
中でも、乳脂肪分を1%ほど低く2.5%程度とした成分調整牛乳が、売上げを伸ばしている。
当然のこと、本物の牛乳が売れていない。

飲み口を「爽やか」に「軽やか」にしたと言えば聞こえが良いが、スーパーではもっぱら牛乳類を目玉商品として安売りするために、これが使われている。乳業メーカーの製品開発時にはそうではなかったのかも知れないが、今や安売りの便法として重宝されている。消費者が1%抜きを求めたわけではない。売る側も、そして今や作る側も、動機が不純なんだワ、である。

お客様、お安ければ宜しいんでしょう。ほらここ(品質)をちょっと落としたものがあります。
味の差なんて分かりませんし、何よりお安くなりますよ。
私たちは、いつもお客様にお安い商品を提供しようと頑張っているのです。
さあ、これまで通りこの目玉商品に釣られて是非ご来店ください。てなもんで「さもしい」話だ。

スーパーでは、この類いの製品が「成分『無』調整の牛乳」を押しやって、売り場面積を広げている。成分『無』調整の「牛乳」を1リットル160円台で安売りしている店でも、この成分調整牛乳は更に10円から20円安い。
牛乳の味に頓着しない消費者は、あらこちらの方が安いワ!とばかり、手が伸びる。

「低脂肪乳」というものが、昔からある。
「成分『無』調整の牛乳」は、乳脂肪分をほぼ3.5%以上としているが、「低脂肪乳」は1.5%未満がお約束で、各社ほぼ1.0%以下である。これは最初から低脂肪を訴求しているので、消費者もその特性を求めて購入するのだろう。当然、価格はもっとも安い。
しかし、私にとっては美味しいとは思えないし、乳脂肪についても例え1リットル飲んでも25gの乳脂肪のダイエットが大きな意味を持つとは思えない。そして、このカテゴリーの製品が販売を伸ばしているわけではない。

さて、この乳脂肪分を1%低くした成分調整牛乳の味はどうか。
実際に買って飲み比べ試してみた。
その結果は、冷やしてゴクゴク飲めば、正直まず区別がつかなかった。
しかし、ぬるくなったら、「成分『無』調整の牛乳」に甘みとコクが感じられた。ホットミルクにすれば、もっと味の差が判るのだろう。

なるほど「1%抜き」は、牛乳感を大きく損なわないギリギリのところ。「爽やか」「軽やか」と言われれば、そうかも知れない。しかし、乳脂肪については例え1リットル飲んでも10gの乳脂肪のダイエットだから(少なくとも私には)意味がない。そもそも、牛乳の生命とも言うべき乳脂肪を3割かすめておいて、牛乳の代わりですとは、供給側も、消費者を、そして酪農家を、毎日せっせと牛乳を出してくれている牛さんを、なめているのではないか!

f0057955_2243478.jpgスーパーの成分調整牛乳の売れ行きを横目で見て、コンビニでも取り扱いが始まった。

セブンイレブンでは、従来からの成分『無』調整PB商品の牛乳は1リットル218円、一方の成分調整牛乳は関東地区ではT乳業の「生乳仕立て・さわやかな朝」188円、コンビニ売価はスーパーの目玉商品よりは高いが、両者には30円の価格差がある。

この動きに対して、昨今のビール業界を連想する人は多いようだ。
発泡酒、第三のビールと、次々に紛い物製品を投入しては、本家のビールのシェアを大きく落としているのは、ご存知の通りである。もっともビールもどきが増進したのは、酒税法の上で販売価格が大きく下がるからであったが、牛乳には税金面での影響はない。

私自身、乳脂肪に拘るものではないが、折角の「成分無調整=搾ったままの牛乳」から機能性に優れた乳脂肪をスキミングして製品を作り、それを安売りの理由にして、相変わらずスーパーは牛乳を目玉商品としか扱わない。こんなことが続けられて良いのだろうか。

今に、日本人は、カニカマの味を蟹の味と思い、ビールまがい品を麦酒と思い、脂肪をかすめた成分調整牛乳をこんなものだと思うのかもしれない。安さ優先で本物には拘らないのが日本人なのか、安ければそれでいいのか(by 山下惣一)。

我が国は品質のデフレも、いよいよ浸透してきたようだ。
貧すれば鈍す、悲しい現実である。
by yokuya2006 | 2009-09-02 23:20 | 日常の雑感、覚書 | Comments(2)
Commented by mikiko at 2009-09-04 21:57 x
成分調整牛乳・・・私は好きではありませんが、確かに売り場面積を広げていますね・・・紛い物のようで 我が家では購入しません。
かといってジャージー乳のような濃厚なものを求めているわけではありませんが。
絞りたて・・・とまでいかなくても、限りなくそれに近い牛乳が少なくなっていくのが寂しいですね。
やはり、消費者が助長させていることは歪めないのではありませんか?安かろう・・・何とかで
お醤油も然り・・・脱脂大豆で色と香りを付けただけの1本100円未満のものが特売で出されると客はそれを目指す。
このようなものが巷に溢れ、子どもたちは“本物の味”を知らずに育ってしまうのでしょうか? 食育の乱れが懸念されます。

ダンボールコンポスト(ピートモスともみ殻薫炭)で、家庭(家族5人)の生ごみはこれで処理していますよ…庭の家庭菜園のために。
Commented by yokuya2006 at 2009-09-04 22:12
mikikoさん、お晩です。
段ボールコンポストですか、実践者ですね!

消費者に媚びたふりしてシェアを争う販売者と、自分の足元を崩す行為は判っていても、やった者勝ちでこれに擦り寄るメーカー。
自分が扱う農産物「牛乳」に誇りはないのか!と、悲しくなりますね。

消費者は、紛い物を見分ける目を持ち、断固として抵抗すべきと思います。
私たちは、こんな誤魔化し食品はいらない!と。20円高くても、本物牛乳を選びます!と。