6/26 世界と日本における地熱エネルギー開発

続いて、午後からは「世界と日本における地熱エネルギー開発」。
バイオマスのついでに聴講したのだが、実はこちらのほうがとても面白かった。

地熱の現場を取材して」 ~記者がみた地熱の力
演者はNHKの記者で、既に番組も放映されているらしい。カリフォルニア、インドネシア、オーストラリアの取材動画を中心としたレポートで、この講演を敢えて最初に持ってきた企画の勝利である。地熱利用の全体像が良く理解できた。

地熱エネルギー開発・利用の概要」 独立)産総研 前報を受けて、世界と日本を対比させつつ学術的に解説。ここ10年間の停滞した日本の地熱技術開発を印象付けた。

米国の地熱開発」 富士電機システムズ株式会社 カリフォルニア州、ネバダ州を中心に、世界第一位の発電量を誇る米国の現状と法的背景についての概説。必ずしも計画通りではないが、今後とも米国の地熱発電は伸びるとした。

地熱資源大国インドネシアなどの地熱エネルギー開発について」 西日本技術開発株式会社 凄まじいばかりのインドネシアの地熱エネルギー開発。急成長が故の課題はあるが、今後とも積極的な取組みが続く。時間がなくて駆け足だったが、現状では米国に次いで二位でありながら最近は停滞を見せるフィリピン、同じく環太平洋の Ring of Fire の一角を占めるメキシコと中米、そして大陸が湧き出す東アフリカ地溝帯を擁するケニアでは、国立公園と地熱開発を共存させているなど。我が国でも「地熱は国の資源」と捉えての取り組みこそ重要、と訴えた。

オーストラリアにおける地熱エネルギー開発の現状について」 財)電力中央研究所
これは正確には高温岩体発電で、マグマ由来の熱水や蒸気ではない。
地下数キロまでボーリングすれば、250℃程度の高温の岩盤があり、ここに注水して別の井戸で熱回収して戻す仕組みだ。注水による岩盤の割れをセンシングする技術で我が国も協力している由。地下の震源プロット画像がスリリングだ。
発想はまさにオーストラリアらしい大雑把なものだが、これは面白い。電力需要地までの送電線のコストが大変というのも、いかにもこの国である。

最後は、地中熱利用の現状」 NPO地中熱利用促進協会 うって替わって、住宅向けの浅い地下の温度差利用のエコ暖冷房、ヒートポンプなどの熱交換器を使う。確かにもっと普及しても良い省エネ技術である。

全体的に、午前のバイオマスセミナーに比べてとても充実したセミナーだったし、所謂「新エネルギー」を太陽光ばかりに注力すべきでないと実感した。
それにつけても、バイオマスエネルギーは最早我が国では行き詰まりつつある印象。
会場からそれを指摘する質問もあったが、今もって(まだ)我が国は、バイオマスエネルギーを選択すべきなのか。エネルギー素材の多様性、Diversity を言った演者もいたが、既に煮詰まった感のあるバイオガスと同様に、次世代バイオエタノールも我が国の事情に合わぬ「研究のネタ」に過ぎないとなれば、早々と手を引くべきかもしれない。
技術開発よりも、政策的決断とインセンティブな法制度が、求められている。
by yokuya2006 | 2009-06-26 21:39 | エネルギー | Comments(2)
Commented by asang at 2009-06-28 22:49
地熱資源大国インドネシア... 世界ではそのように認識されているのですね。
確かに各地での地熱発電所の建設のニュースなど耳にしますが、
正直、あまり実感が湧いていないです。
私の周りの環境・森林関係者の間では、キャッサバやナンヨウアブラギリ(ジャトロファ)のバイオエタノールへの期待が高いようです。
日本からの投資を待っているという声もよく耳にしますね。
Commented by yokuya2006 at 2009-06-29 08:04
なーるほど、案外そういったものなのですねぇ。