5/23 剪定枝の堆肥化(4 結論)

話が脇に反れました。結論的なものを書きましょう。
・比較的柔らかな花木類の剪定枝の堆肥化では、セルロースの分解もそこそこ進む可能性があるでしょう。
・しかし、放線菌を真っ白に増殖させた高温発酵環境でも、「おがくず」由来のリグノセルロースの分解状況は「2~3ヶ月ではこの程度に過ぎないという事実」をもとに考えれば、一般の堆肥化過程で剪定枝の繊維分解がある程度進むには、やはり半年、一年の時間が必要だと言えるでしょう。

従って、花木類の剪定枝の堆肥化の要点は、
①リグノセルロース系材料の堆肥発酵には、少なくとも一年以上の時間をかける。
まず始めに、落ち葉や米ぬか、油粕などの易分解性有機物と、難分解性有機物である木質系の剪定枝では、同じ堆肥化でも「材料が異なる」ことを理解する必要があります。木質系はCN比、つまり炭素率が極めて高いので、微生物はなかなか歯が立たず、しかもリグニンを分解できる微生物は限られているのです。

②リグノセルロースへの微生物アタックを助けるため、できるだけ剪定枝原料は粉砕する。
粉砕したほうが、原料の表面積は大きくなって分解を受けやすくなります。しかし、これをギュウギュウ詰めにすると、空気の流通が悪くなって逆効果となるので注意が必要でしょう。

③微生物が活動し易いCN比に調整するため、剪定枝には窒素源を混合する。
花木類の剪定枝のCN比を100弱と仮定(公園樹木の剪定枝などは、もっと大きな数字です、念の為)すると、前述の牛糞堆肥を等量混合すれば、混合物のCN比は30弱となり、これは微生物にとって有機物を分解・同化する良い環境となります。窒素が少なければ、微生物だって窒素飢餓(このような言い方は本来しませんが)を起こし、自分の体を増やすための蛋白質や、酵素を作れません。従って微生物分解は遅れざるを得なくなります。

④発酵熱を保持できる環境を作る。
堆肥発酵させる場合は、目安として「少なくとも5立米以上の山」を作ってください。といつも申し上げています。山が小さいと、内部の発酵熱が放散してしまい、発酵の効率を落としてしまいます。発酵熱が蓄積することで、堆肥の山には空気の流れができ、水分蒸散が進みます。また、温度上昇によって微生物の酵素活性は高まり、従って分解が進み、微生物は爆発的に増殖して更に堆肥発酵の効率は高まります。
堆肥発酵の初期には、山の上にシート掛けするのも効果的です。これは、発熱が安定した時点で取り外します。
どうしても小規模な処理系でやらざるを得ない時は、加温するのは現実的ではないので、何らかの形で保温を考えます。発酵熱が逃げない容器を工夫することになりますが、この際には、空気の流通を妨げないように容器の設計には注意が必要です。

⑤牛糞堆肥をタネ菌として使う。
手っ取り早いのは、高温発酵して放線菌が増殖している牛糞堆肥を「タネ菌」として使うことでしょう。タネと言うと少量で済むような気がしますが、前述の通りCN比の改善を考えれば1/3量から等量混合ぐらいがちょうど良い割合(重量比)です。
経験上、両者を均一に混ぜるより、一山を4層くらいに分けて交互に積んでいくほうが結果が良いみたいです。何故でしょうね。
また、剪定枝の分解を考えれば、牛糞は完熟よりも、まだ若干汚物感を残している状態、完熟手前で荒々しく熱が上がっているものの方が良いです。しかし、これは臭気を伴いますので、場所を選びます。

続く
by yokuya2006 | 2009-05-23 13:52 | 堆肥化とNPO | Comments(4)
Commented by KOU at 2009-05-24 08:26 x
こんにちは~
窒素資材の混ぜ合わせ~気にはなってたのですが~あまり肥料成分を高めたくない考えがあって~米糠を1~2割り混ぜるに留めていました。
少し考え直さないといけないようですね~練り合わすより積層の方が良い結果と言うのも面白いです。省力化という意味ではむしろ楽です。堆肥サイロ投入時に混ぜなくても良いから~。発酵牛糞を半分も混ぜるのはちょっと困ります~量が増え過ぎるから~。窒素源の添加は尿素&硫安などを併用しても良いのでしょうか?。大量の剪定枝は嵩を減らすのも目的なのです。化学肥料の投入が微生物に与える影響など~関心があります。炭素循環サイトの記述では全否定してましたね~理由は判りませんが
Commented by yokuya2006 at 2009-05-24 20:42
KOUさん、お晩でした。力んだワリには、役に立つ記事にならず済みません。
嵩を減らすのが目的なんですよね、分かります。でも、少し窒素を補ってやると、微生物さんの利用効率は間違いなくUPしますよ。
炭素循環サイトってのは、勉強不足で分かりませんが、KOUさんは園芸家ですからそんなに窒素はいらないですよね。分解を促進する目的で、最低限の窒素と、ついでに放線菌を補給する意味で、牛糞堆肥を使ってみませんか。

私が保証する牛糞堆肥は、あと二ヶ月で出来上がりますから、お送りしますよ。鍵コメで、ご住所かメールアドレスをお知らせ下さい。

千葉までお運びいただけるのであれば、手渡しも可ですよ。
Commented by KOU at 2009-05-25 20:52 x
こんにちは~(^^♪
今日~剪定枝チップの積み込みでは米糠の分量をやや多めにして、尿素の余りものを1Kほど混ぜ込んでから堆肥サイロに投入~その後で近所のホームズで購入した発酵牛糞にてマルチングしました。1袋分18Lなので2~3cm厚の層です。
『保証する牛糞堆肥』
お気遣いありがとうございます。とても興味は惹かれるんですが~
手近なもので容易に安くっていうのが基本の考えなので~まずは近所で売ってる発酵牛糞を使って見ます。放線菌が沢山含まれてると嬉しいですけど~ビニール袋パックでは期待薄かも知れません。
簡単な装置を使い元種としての放線菌を安定して拡大培養出来たら面白い展望が開けそうです。『アガリエ菌』の放線菌米糠は10Kで30000円とか?ちょっと素人には敷居が高いです。
先日~少量のサンプル放線菌米糠を分けていただきました。これを何とか拡大培養出来ないものか?と頭をひねってるところですが~この時期に普通に米糠に混ぜ込んでは~どうも腐敗と発酵の境界をウロウロしそうで~いやきっと腐敗が優勢と思われて~
Commented by yokuya2006 at 2009-05-26 21:34
おおっ広島方面からの放線菌ですね。
この菌は、私が扱う高温放線菌とは違うので、常温で周囲に増殖環境(水分と栄養分とある程度の通気確保)を整えてやれば、拡大培養できそうな気がするのですが、、、
ア・・菌てのは、そんなにするのですか。すごいですね。でも使う量が少ないのかな。
まあ、私の会社で売っている家畜用複合菌(混合飼料)も、20キロで四万五千円しますから、同じようなもんか。
でも、牛には一日一頭5グラムなので、コストは11円ですけど。