2/25 サンゴとサンゴ礁のはなし

f0057955_20291076.jpg副題は、南の海のふしぎな生態系。
本川達雄 著、中公新書。
これはエッセイではなく、自然科学読物。

サンゴに関するQ&Aと、サンゴ礁に関するQ&Aを基礎編として、より詳しく読者をサンゴの不思議に導いてゆく趣向になっている。

刺胞動物であるサンゴが体内に共生させている褐虫藻。
光合成を行う褐虫藻が、住処を提供されサンゴの老廃物や二酸化炭素を利用して、栄養分や酸素をサンゴに与えてくれる。
この程度のことは知っていたつもりだったが、サンゴが光を遮ったり或いは発光して褐虫藻の光合成を最適に制御しているとまでは知らなかった。

この両者の共生関係が、また結果として生産性の上がったサンゴの分泌物が、実は澄み切って貧栄養の熱帯の海の生物の多様性を支えていたのだ。

そして、何と!サンゴと褐虫藻に加えて二枚貝がサンゴ骨格に潜んでいる場合があるという。
貝は、サンゴが利用できない植物性のプランクトンを食べ、余剰となった褐虫藻を食べ、この3者による共生は更に効率が高まっているのだ。

最後に、サンゴの白化(海水温が適さなくなった褐虫藻が、サンゴから抜け出る状態)や、温暖化、オニヒトデ問題など、サンゴ礁の保全に触れて本書は終わる。
生物の獲得してきた智恵は、素晴らしい。生き物への好奇心を十分に満足させてくれる好著である。
by yokuya2006 | 2009-02-25 20:17 | 趣味の読書 | Comments(0)